婚約破棄されたけど隣国の王子様と飛空艇で世界旅行してる私は超勝ち組!?
「お前のような女を探していた。俺と来いダリヤ。世界中の宝箱を開ける旅へ誘おう!」

「いっ、いやですぅぅぅ!」


必死の叫びも虚しく、黄金の布が胴に回って絡まりいとも容易く拉致された。
布に操られて、右へ……


「ひいぃぃぃっ」


左へ……


「あああぁぁっ」


そしてヘビの集まる中央まで。
気づくと私は、黄金の布の中心で嗚咽をあげていた。


「さぁ、踊りましょう」

「え?」


女性の声に辺りを見回す。
だれの顔も見えない。でも、たしかに女性の声だった。

あちこちから布が飛んできて、体に纏わりついていく。まるで意志を持っているかのような神業。操り人形みたいに巻かれて弱った私は、一瞬、布の波の隙間から人垣を見た。
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