婚約破棄されたけど隣国の王子様と飛空艇で世界旅行してる私は超勝ち組!?
「ふたつの湖を抱く美しい森林、そして幾筋も伸びる清らかな川。これがお前の生まれ育った緑の王国シルヴァーニャ・ブライストだ。覚えておけ」

「はい!」


空を飛ぶ恐怖が、吹き飛んだ。

風が気持ちいい。
両手を広げ、空を仰いだ。

 
「!」


爆風に体が傾ぐ。
でも倒れも、飛んで落っこちたりもしなかった。
バスィーム王子の広い胸が、背中に当たる。


「あ、すみません」


浮かれすぎた。
足に力を入れて振り向くと、そこには思いがけず優しく微笑む砂漠の王子がいて、私を見おろし、長い金髪を靡かせていた。


「……」


やだ。

ドキッとしちゃった。
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