婚約破棄されたけど隣国の王子様と飛空艇で世界旅行してる私は超勝ち組!?
お母様にきいても「さあねぇ」と可愛く首を傾げるだけ。
お姉様たちには「可愛い弟ちゃん」なんて弄られて……笑ってるからって、本気で喜んでるわけじゃない。

お父様は「お前の好きに生きなさい」なんて、ほとんど諦めた感じだし。

せめて勉強をと思って頑張っているうちに夢中になった外国語や、お洒落にはお金がかかるなぁと思って身に着いた節約も、結局だれからも褒めてもらえない。


「好きだねぇ」


って、珍しいものを見るみたいに言われるだけ。

「ダリヤ! 婚約、ダメになったんですって?」

「まあまあ、そんなに泣いてっ」

「お姉様……とお姉様……ッ!」


長女のアスィーラお姉様はとっくに嫁いでいる。
弄りはするけどとても可愛がってくれる姉たちだ。私は手を伸ばして救いを求めた。

スーパー可愛いお姉様たちに挟まれて、慰められて、もちろん二人には婚約者がいて……最高にみじめだ。


「うああぁぁぁ」


不幸の絶頂を味わっていた私は、まだ知らなかった。
この破談がある人の耳に入り、やがて私の運命を変えるのだという事を……
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