婚約破棄されたけど隣国の王子様と飛空艇で世界旅行してる私は超勝ち組!?

「……!」


前方が一面窓になっていて、雲のかかる青空が視界一杯に広がった。


「管制室だ。ダリヤ、船長のファイサルを紹介しよう」


左右に並ぶ管制官、その中央で空路の確認と指示を出している、長身の男性がいる。

銀に近い空色の髪は、一瞬普通の短髪に見えたけれど、襟足から細く長い三つ編みが背中の中ほどまで垂れていた。近づいていくと気配に気づいたのか、ファイサル船長がふり向く。


「殿下」

「仕事中にすまないな。ダリヤを案内しているんだ。ダリヤ、ファイサルだ。ファイサル、ダリヤだ」

「よっ、よろしくお願いします!」
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