婚約破棄されたけど隣国の王子様と飛空艇で世界旅行してる私は超勝ち組!?
今日もまた、着慣れないドレスを着て肩身の狭い思いをしている。
少なくとも、ここに集った国内の人たちは全員、知っているのだ。私が、破談ホヤホヤだと。


「はぁ」


今日85回目くらいの溜息をついて、ぼんやりと宙を眺めた。

着飾った令嬢はだれも綺麗だけど、その中でもアミーラお姉様はひときわ輝いて見える。アミーラお姉様の婚約者は幼馴染の侯爵令息で、二人はここ数年、友愛を越えて大恋愛している。輝くわけだ。

 
「──ぷっ」

「──くすくす」


目の前を通り過ぎたどこかの貴族が、私を見て笑った。


「……」


泣きたい。

 
消えなくていい、せめて隠れたい。
こんな私を誰の目にも晒したくないし、みじめに泣く姿なんて絶対に見られたくない。
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