婚約破棄されたけど隣国の王子様と飛空艇で世界旅行してる私は超勝ち組!?
「うふ。では私が」


バディーアが沸きあがる手拍子に合わせて、艶めかしく踊りながら向かっていく。
ノリノリだ。
そして、あの色気のおかげで私は忘れ去られた。

 
「……」


助かった。

椅子や食器を叩く音も混じり、これでもかというどんちゃん騒ぎだった。
私は肩を落として、奥にあるカウンターに向かった。
 
楽しい夕方の一時を過ごしている人たちの中にも、私に気づく人が少しいて気さくに挨拶をしてくれた。普通の人に見えるけれど、たぶん、みんな一癖持った人たちなのだろう。ファイサル船長は、みんな頭のネジが外れていると言ったのだから。
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