婚約破棄されたけど隣国の王子様と飛空艇で世界旅行してる私は超勝ち組!?
「こんばんは」
「ふらふら出て行ったから、酔ったのかと心配したぞ」
「どうも。大丈夫です」
「逆だ」
王子がそう繰り返すので、甲板の反対側まで一緒に歩こうと身を返した。
そのとき。
「……!」
目の前に真っ白な三日月が浮かんでいた。
手が届きそうなほど、近く。実際そんな事はないのだけれど、そう思えるくらい、近くに感じた。
「夜の景色もいい。次は朝焼けか夕焼けを見てみろ」
「……はい」
促され、ゆっくりと歩き出す。
「ただし、嵐のときは出てくれるなよ。飛空艇は持ち応えてもお前が飛ばされる」