婚約破棄されたけど隣国の王子様と飛空艇で世界旅行してる私は超勝ち組!?
「……」
思ってもみない言葉だった。
いつも姉妹の中で引け目を感じて生きてきた。何かを証明しなくては生きている価値がないように感じていた。好きだから勉強は続けられたけれど、能力を伸ばす事にしか自分の価値を見出せなかった。
ただの私が特別。
それは、自分ではとてもそう信じる事のできない、慰めだった。
でもバスィーム王子が本心からそう言ってくれているのはわかる。
彼は、人を大切にする人だ。
「王子が私を見つけてくれたから。だから、特別になれたんですよ」
「そうか」
優しい眼差しのまま頷いて、バスィーム王子が私の頭を撫でる。
あたたかく大きな、たしかな掌だった。