婚約破棄されたけど隣国の王子様と飛空艇で世界旅行してる私は超勝ち組!?
「レイスはこの時間、自室か食堂にいるはずだから。探してみてくれ」
「──」
あー……ガチムチフェアリーか。
「ダリヤ? 俺が行こうか?」
「いっ、いいえ! 私が行きます。お任せくださいっ」
「ありがとう。助かるよ」
「……」
いい。
ファイサル船長のこの笑顔が見られるだけで、いい。
はたして私は食堂に向けて回廊を歩いていた。
ハンカチをヒラヒラさせながら精神統一を試みる。すると、私が何を目的として歩いているのか察したらしい何人かが、朝からご苦労様と声をかけてくれた。
ガチムチフェアリーめ、常習犯だな。