片翼を君にあげる①
今は目の前の事を一つ一つ乗り越えて行くーー。
扉をノックすると、中から「はい、どうぞ〜」と、懐かしい可愛らしい声が聞こえた。
「失礼します」と、扉を開けて中に入ると、声の主であるノゾミさんが俺の顔を見てにっこりと微笑む。
「あら、ツバサ君。本日はどういった内容でお越しですか?
ご依頼かしら?それとも……」
「ーー夢の配達人になりたくて来ました。
どうか、最高責任者に会わせて下さい!」
そう言って頭を下げる俺に、ノゾミさん相変わらずのほんわかテンションで答える。
「かしこまりです。
只今呼んで参りますので少々お待ち下さい」
そして、「最高責任者、ツバサ君が来ましたよ〜」って更に奥の部屋に消えて行くノゾミさんの声と様子に、込もっていた力がフッと柔らかくなるのを感じた。さすがは夢の配達人の癒し秘書。
程よくリラックスした俺は、夢の配達人への面接へ向かった。
……
…………。