片翼を君にあげる①
「君達、無抵抗の人間殴ったら最後の大会どころじゃなくなるよ?」
「今なら見なかった事にしてあげるから、さっさと行きなさい!」
ライがにっこり笑いながら、ランが睨み付けるようにそう言うと、三人組はチッと軽く舌打ちをしてその場から去って行った。
二人のお陰で騒ぎになる事なく無事に解決。
「……わり、迷惑かけたな」
もう大丈夫だと思っていた。
夢の配達人を辞めて、普通に年相応の学園生活をして、その生活に慣れてきていたと思ってた。
それなのに……。
「じゃあ、どうすれば良かったんだよ」
なんで、あんな事を自分は言ってしまったんだろう?
もう今更、そんな事言っても何も変わらないのに……。
これもあの夢を見て、今朝色々と思い出してしまったからなのだろうか?
こんな事じゃいけない。
気を引き締め直そう。
そんな事を思いながら反省していると、俺の謝罪を全く聞いていないかのようにランとライが叫ぶ。
「げっ!ヤバいヤバい!お昼休みもう10分も経っちゃってる〜!!」
「早く食堂行かないと食べる時間なくなっちゃう!ツバサ、行くよ〜!!」
「っえ?!……あ、ああ」
二人に手を引っ張られて、俺はとりあえず一緒に走って食堂へ向かった。