片翼を君にあげる①
「分かった分かった。
俺は初めからAにする予定だから、プリンはランにやるよ。それでいいだろ?」
「!……本当?!やった、ツバサ神〜!!
おばちゃーん!私Bランチね〜!」
俺の提案にすっかりご機嫌になったランは、ずっと待っていた俺達を差し置いてさっさと自分だけ注文。
それを見たライは、呆れながら溜め息を吐いていた。
「ツバサ、いいの?姉さんを甘やかさなくていいよ」
「いいのいいの。俺、どうせ食わねぇし」
「あ、そっか。甘い物苦手だっけ?」
「そ。味濃いのも苦手だからさ」
そんな会話をしながら注文を済ませ、俺達は配膳が整ったトレーを持って空いている4人掛けの席に着いた。
ランとライが隣同士で座り、俺はランの正面に座るとデザートのプリンを彼女のトレーの上に置いてやる。
「わぁ〜い!ツバサ、ありがとう!」
「ツバサは見た目はじいちゃんにそっくりだけど、食事の好みとかは全然違うよな〜」
「父さんが甘党過ぎなんだよ。
特にホイップクリームとか、マジであれは敵だね」
聞いていてややこしいと思うが、さっきの説明の通り俺の父さんはランやライにとっては祖父に当たるのだ。
ライの言う通り、見た目は自分でも分かるくらい俺は父さんに似ている。
けど、他はけっこう異なっている事があって、その分かりやすい代表としてあげられるのが食の好みだった。