片翼を君にあげる①
7歳の時、年の離れた弟が産まれた。
私が1歳の時に産まれた弟のヒカルの事は、私自身も赤ちゃんだったから全く覚えていない。
けど、その年の離れた弟ツバサが産まれた時の事はすごく鮮明に覚えている。
私の両親は色んな事情があって、ヒカルが産まれる前に一度離縁した。
いっぱいいっぱい大変な事があったみたいだけど、それを乗り越えた両親は私が5歳の時に再び再婚。
想い合いながらも一度離れ離れになったからか、両親はもう本当にラブラブで……。でも、私はそんな仲の良い両親が大好きだった。
お父さんにそっくりな男の子がほしい。
ずっとそう願っていた母が、その願い通りに父にそっくりな男の子を産んだ。それがツバサ。
父にそっくりな白金色の髪と瞳。虹彩異色症で片目が黒かったけど、それ以外は父をそのまんま小さくした感じで、もう母はメロメロ。
あまりの溺愛ぶりにヒカルと二人で若干ヤキモチを妬く時もあったけど、ツバサは本当に姉の私の目から見ても可愛くて、天使みたいで「ねーちゃ」って呼ばれると、もう、堪らなかったなぁ〜。
そんな、見た目も綺麗でみんなから愛されるツバサが成長と共に辛い目に遭うなんて、きっと誰も思わなかった。