片翼を君にあげる①

子供の時は特に男の子は女の子よりも恋愛事には疎いし、ツバサは二つ下って事もあって私の事を友達の一人としてしか見てなかったと思う。
だから、本当は男性の方から告白してほしいけど、万が一の時は私からしようって企んでたっけ。

ヴァロンさんに連れて行ってもらって、みんなでキャンプした時。
"流れ星に三回お願い事をしたら叶う"って言い伝えをどうしてもやってみたかった私が夜中テントを抜け出して一人夜空を見上げていたら、何故か気付いたツバサが後を付いて来て一緒に流れ星を探してくれた。
でも、人の気も知らないで「見付けたら何を願うの?」、必死になる私を見て「そんなに叶えたい願いがあるんだね」って、まあ無邪気に……。
夜空に向かって叫んでやりたかった。

『ツバサのお嫁さんになりたいです!』って。

もしあの時、流れ星にその願いを三回唱える事が出来たら……叶ったのかな?

それとも、朝日が登るまでずっと一緒に居られたあの頃が……私達にとっての最高の幸せ、だったのかな?

……
…………。
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