独占欲に目覚めた次期頭取は契約妻を愛し尽くす~書類上は夫婦ですが、この溺愛は想定外です~
「連さんの元でお仕事をしていると、今まで見たことのない景色が見えるようで、とても楽しい。勉強になるんです。それに、私は人間的にも未熟で、連さんの鷹揚で懐の深い性格に学ぶところが多いように思います。私が連さんの元にいたい」
「初子、無理をしていないんだな?」

父が尋ね、私は頷いた。

「私が本店営業部にいたいと望んでいます。もし、連さんとの間に齟齬が生じ、契約妻の関係を降りると決めたら、私自身が連さんと話し合いを持ちます」
「梢はいつも控えめだったけれど、こうして自分の意志を言ってくれるようになったんだな」

越野支店長が微笑んだ。
その言葉が、成長を認められたようで嬉しい。

足音が聞こえ、間もなく襖が開く。そこに連さんがいた。

「お待たせして申し訳ありません。はい、これお義父さん。初子の妹さんにプレゼントです。越野支店長はこちら。奥様に渡してくださいね」

到着するなり、連さんは父と越野支店長に紙袋やら箱やらをどさどさ渡している。いつの間に用意したのだろう。

「連さん、お気遣いいりませんよ。お土産なら、私がもう」

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