独占欲に目覚めた次期頭取は契約妻を愛し尽くす~書類上は夫婦ですが、この溺愛は想定外です~
当然俺が勝ったわけだが、自動販売機横の大きなぶなの木の根元で、初子は楽しそうに声をあげて笑った。息が切れているので途切れ途切れの笑い声。初子はこんなふうに笑えるのだと、最近知った。
「初子、手を繋ごう」
買い足したペットボトルをひとつ渡し、空いた手を差し出す。
「ふふ、くっついたら暑いのではないですか?」
「いいんだよ。それに、俺が勝ったんだから言うことを聞け」
「そんな約束していませんよ」
初子が楽しそうで、俺も嬉しい。単純なことだ。好きな女と笑い合える幸せを俺は味わっているのだ。
初子が好き。愛でる気持ちより、とっくに恋の気持ちで見ている。
「初子」
呼びかけたときだ。俺のスマホがポケットの中で振動をし始めた。
取り出してみると、真緒からの着信だ。メッセージではなく電話だなんて珍しい。急用だろうか。
初子に断って出る。
『連?』
真緒の声がかすれている。泣いているようだ。
「どうした? 真緒」
俺は驚いて、幼馴染の名を呼んだ。
「初子、手を繋ごう」
買い足したペットボトルをひとつ渡し、空いた手を差し出す。
「ふふ、くっついたら暑いのではないですか?」
「いいんだよ。それに、俺が勝ったんだから言うことを聞け」
「そんな約束していませんよ」
初子が楽しそうで、俺も嬉しい。単純なことだ。好きな女と笑い合える幸せを俺は味わっているのだ。
初子が好き。愛でる気持ちより、とっくに恋の気持ちで見ている。
「初子」
呼びかけたときだ。俺のスマホがポケットの中で振動をし始めた。
取り出してみると、真緒からの着信だ。メッセージではなく電話だなんて珍しい。急用だろうか。
初子に断って出る。
『連?』
真緒の声がかすれている。泣いているようだ。
「どうした? 真緒」
俺は驚いて、幼馴染の名を呼んだ。