独占欲に目覚めた次期頭取は契約妻を愛し尽くす~書類上は夫婦ですが、この溺愛は想定外です~
真緒が再び初子に抱きつき、その頬にちゅっとキスをする。

「初子さん、本当に有能! 暴力団関係者の件は結婚白紙に充分な材料だったわ。さらに女をとっかえひっかえしてブランド物貢ぎまくってる写真も最高!」
「一週間でボロをだしてくれて助かりました。お話が進む前に思っておりましたので」

得意げになるでもなく、淡々と初子は言う。

「もちろん、父は次の結婚相手を探してくると思う。だけど、もっと慎重になるだろうし、時間稼ぎにはなるわ」

真緒がにいっと笑った。初子はほっとしたのか、頬を緩めている。

「初子、まずはありがとう。真緒のために動いてくれたんだな。でも、今後はまず俺に相談しなさい」

一応釘を刺しておかねば。初子は見た目よりアクティブだ。まさか、真緒のために独自でここまで動くとは思わなかった。暴力団関係者の近くにまで接近されてはたまらない。

「本職の探偵じゃないんだ。危ない目にあったら困る」
「はい、申し訳ありませんでした。以後、気をつけます」
「心配させないでくれよ。いつだって俺が駆けつけてやれるわけじゃないんだから」

俺たちの会話を真緒がにこにこ見ていた。

「ほら、仲良し夫婦に御礼を持ってきたのよ。飲みましょう!」

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