独占欲に目覚めた次期頭取は契約妻を愛し尽くす~書類上は夫婦ですが、この溺愛は想定外です~
すると、式場のスタッフが声をかけてくる。
「新婦様のお席までお越しいただけますか?」
呼ばれるままに撫子さんと恭さんの元へ向かう。恭さんはご両親の仕事関係の方々と話している様子。撫子さんがそっと私に手招きした。それから、目立たぬように私の手に白いブーケを手渡した。カラードレス用のブーケはテーブルにあり、これはさきほど挙式で持っていたウエディングドレス用のブーケだ。
「撫子さん?」
「初子さんにさしあげるわ」
撫子さんが言う。私は慌てた。
「そんな……受け取れません。私は……」
「あなたがどんな道を選んでも咎めない。契約通りよ。あなたの未来は保証する。このブーケがプレッシャーになるのもわかっていて渡している」
撫子さんは大きな瞳で私を見つめる。連さんにそっくりの綺麗な濃いブラウンの瞳だ。
「私の希望というだけなの。あなたが兄の傍にいてくれたら嬉しい。それだけ」
私は黙り、それからブーケを受け取った。頷くことはできず、ただ「ありがとうございます」とだけ伝えた。
大袈裟にならないように、そっと私にブーケをくれた撫子さん。席にもどる私とその手のブーケを見て、連さんが微笑む。
みんな、私が連さんと夫婦でいることを望んでいる。契約ではなく、この先もずっと。
受け入れてしまっていいの?
甘えるように身をゆだねてしまっていいの?
私にはわからない。
「新婦様のお席までお越しいただけますか?」
呼ばれるままに撫子さんと恭さんの元へ向かう。恭さんはご両親の仕事関係の方々と話している様子。撫子さんがそっと私に手招きした。それから、目立たぬように私の手に白いブーケを手渡した。カラードレス用のブーケはテーブルにあり、これはさきほど挙式で持っていたウエディングドレス用のブーケだ。
「撫子さん?」
「初子さんにさしあげるわ」
撫子さんが言う。私は慌てた。
「そんな……受け取れません。私は……」
「あなたがどんな道を選んでも咎めない。契約通りよ。あなたの未来は保証する。このブーケがプレッシャーになるのもわかっていて渡している」
撫子さんは大きな瞳で私を見つめる。連さんにそっくりの綺麗な濃いブラウンの瞳だ。
「私の希望というだけなの。あなたが兄の傍にいてくれたら嬉しい。それだけ」
私は黙り、それからブーケを受け取った。頷くことはできず、ただ「ありがとうございます」とだけ伝えた。
大袈裟にならないように、そっと私にブーケをくれた撫子さん。席にもどる私とその手のブーケを見て、連さんが微笑む。
みんな、私が連さんと夫婦でいることを望んでいる。契約ではなく、この先もずっと。
受け入れてしまっていいの?
甘えるように身をゆだねてしまっていいの?
私にはわからない。