独占欲に目覚めた次期頭取は契約妻を愛し尽くす~書類上は夫婦ですが、この溺愛は想定外です~
ひと月、彼の秘書役を務めてみて、噂というものがいかにあてにならないか痛感した。
わざわざ、地方から呼び寄せられたということは、文護院連支店長は相当な問題児であり、彼の人となりを知る者は補佐役に尽きたがらないからだろうと思ってきた。
そんなことはない。彼は有能で、明るく、人望もある。噂のほとんどは恵まれた彼の容姿や血筋に対するやっかみだろう。
しかし、そうなるとわからなくなる。
どうして私はここに呼ばれたのだろう。
彼の下に付きたいと願う部下は男女ともに多くいるのではなかろうか。彼の人間性を知っている者なら断る理由がない。
ふと、会場内の連さんがこちらを見ていることに気づいた。目が合う。
にこっと笑って見せる彼は、掛け値なしに格好いい。あくまで客観的に見ての話だ。
恋愛経験がなく、今後も積極的に恋愛をする気がない私には、連さんは別世界の王子様だ。きっと、美しいプリンセスと恋に落ち、その女性を完璧に幸せにするのだろう。現状は、誘われたら断らない女慣れしたプレイボーイ王子様だけど。
私は軽く会釈を返した。いずれ、婚約者でもできれば、彼の女性関係の噂も消えてなくなるだろう。そうすれば、やっかむ噂も減るはずだ。
わざわざ、地方から呼び寄せられたということは、文護院連支店長は相当な問題児であり、彼の人となりを知る者は補佐役に尽きたがらないからだろうと思ってきた。
そんなことはない。彼は有能で、明るく、人望もある。噂のほとんどは恵まれた彼の容姿や血筋に対するやっかみだろう。
しかし、そうなるとわからなくなる。
どうして私はここに呼ばれたのだろう。
彼の下に付きたいと願う部下は男女ともに多くいるのではなかろうか。彼の人間性を知っている者なら断る理由がない。
ふと、会場内の連さんがこちらを見ていることに気づいた。目が合う。
にこっと笑って見せる彼は、掛け値なしに格好いい。あくまで客観的に見ての話だ。
恋愛経験がなく、今後も積極的に恋愛をする気がない私には、連さんは別世界の王子様だ。きっと、美しいプリンセスと恋に落ち、その女性を完璧に幸せにするのだろう。現状は、誘われたら断らない女慣れしたプレイボーイ王子様だけど。
私は軽く会釈を返した。いずれ、婚約者でもできれば、彼の女性関係の噂も消えてなくなるだろう。そうすれば、やっかむ噂も減るはずだ。