独占欲に目覚めた次期頭取は契約妻を愛し尽くす~書類上は夫婦ですが、この溺愛は想定外です~
「兄さん、そろそろね」
ふいに撫子さんが言い、私は首をかしげた。今まさにパーティーが始まるタイミングとは思っているけれど、なんだかニュアンスが違う。
美雪が「お姉ちゃん、ちょっと失礼」と私の肩を引いた。
ばさっとかぶせられたのは……ヴェール? 美雪は手早く私の頭にヴェールを装着し、次に連さんの胸元に百合のブートニアを飾る。
呆気に取られている私に、撫子さんと真緒さんが大きな百合のブーケを持ってきた。
そこで私ははっと自分の出で立ちを見直した。この白いドレス……撫子さんが用意してくれたものだけれど、以前ウエディングサロンで着たものとよく似ていない?
「れ、連さん!?」
私は横の夫を見あげた。連さんがにっと子どものように無邪気に笑う。
「今日まで気づかないでくれてありがとう。そう、今日はサプライズウエディングパーティーです。俺と初子の!」
次の瞬間、私と連さんめがけてフラワーシャワーが舞い散った。
「おめでとう!」
「おめでとうございます!」
招待客がみんな、私と連さんを見て花を宙に振り撒く。盛大な拍手と歓声。
ああ、よく見たら、父と越野支店長のそばには仙台支店の同僚たち、お世話になった地域の人たちの姿もある。みんなみんな、私と連さんのために集まってくれたの?
目が熱くなり、鼻がじんと痛い。気づけば、私は大粒の涙をこぼしていた。せっかく美雪に綺麗にメイクしてもらったのに、涙が溢れてきて頬もドレスの胸元も濡れてしまう。
ふいに撫子さんが言い、私は首をかしげた。今まさにパーティーが始まるタイミングとは思っているけれど、なんだかニュアンスが違う。
美雪が「お姉ちゃん、ちょっと失礼」と私の肩を引いた。
ばさっとかぶせられたのは……ヴェール? 美雪は手早く私の頭にヴェールを装着し、次に連さんの胸元に百合のブートニアを飾る。
呆気に取られている私に、撫子さんと真緒さんが大きな百合のブーケを持ってきた。
そこで私ははっと自分の出で立ちを見直した。この白いドレス……撫子さんが用意してくれたものだけれど、以前ウエディングサロンで着たものとよく似ていない?
「れ、連さん!?」
私は横の夫を見あげた。連さんがにっと子どものように無邪気に笑う。
「今日まで気づかないでくれてありがとう。そう、今日はサプライズウエディングパーティーです。俺と初子の!」
次の瞬間、私と連さんめがけてフラワーシャワーが舞い散った。
「おめでとう!」
「おめでとうございます!」
招待客がみんな、私と連さんを見て花を宙に振り撒く。盛大な拍手と歓声。
ああ、よく見たら、父と越野支店長のそばには仙台支店の同僚たち、お世話になった地域の人たちの姿もある。みんなみんな、私と連さんのために集まってくれたの?
目が熱くなり、鼻がじんと痛い。気づけば、私は大粒の涙をこぼしていた。せっかく美雪に綺麗にメイクしてもらったのに、涙が溢れてきて頬もドレスの胸元も濡れてしまう。