独占欲に目覚めた次期頭取は契約妻を愛し尽くす~書類上は夫婦ですが、この溺愛は想定外です~
「連には最初から、きみのことを奥方候補だと伝えてある。連は了承済だ。むしろ、文治を継ぐという意志の方がまだ希薄というか。そのあたりもぜひ梢くんに教育してもらいたいと」
「叔父様、先に条件をお話しませんと」
撫子さんが口を挟むと、頭取は思いだしたというように言った。
「そうだね。大事なことだから明言しておこう。まず、結婚のお願いをしたが、きみはこれを断ることができる。もし、きみが連との結婚を断っても、きみに不利なことは何も起こらない。きみの希望の支店に配属するし、在籍していた仙台支店も数年先なら戻してあげられる。本部で経験を積みたいというなら、本部に招こう」
「あの……それは……」
断っても私にデメリットはないどころか、良いこと尽くめというように聞こえる。
「こんな無茶な異動をさせてしまった責任があるからね。この話を聞いてもらえただけでもありがたいと思っているんだ」
頭取はいつもの人の良い笑顔を見せ、続ける。
「だが、もし連と結婚してくれると言うなら、きみとお父さん、妹の美雪さんの一生涯の生活は保証しよう。連と離婚してもだ。これは契約書を交わすつもりだから間違いないよ」
「叔父様、先に条件をお話しませんと」
撫子さんが口を挟むと、頭取は思いだしたというように言った。
「そうだね。大事なことだから明言しておこう。まず、結婚のお願いをしたが、きみはこれを断ることができる。もし、きみが連との結婚を断っても、きみに不利なことは何も起こらない。きみの希望の支店に配属するし、在籍していた仙台支店も数年先なら戻してあげられる。本部で経験を積みたいというなら、本部に招こう」
「あの……それは……」
断っても私にデメリットはないどころか、良いこと尽くめというように聞こえる。
「こんな無茶な異動をさせてしまった責任があるからね。この話を聞いてもらえただけでもありがたいと思っているんだ」
頭取はいつもの人の良い笑顔を見せ、続ける。
「だが、もし連と結婚してくれると言うなら、きみとお父さん、妹の美雪さんの一生涯の生活は保証しよう。連と離婚してもだ。これは契約書を交わすつもりだから間違いないよ」