独占欲に目覚めた次期頭取は契約妻を愛し尽くす~書類上は夫婦ですが、この溺愛は想定外です~
3.妻のお役目、精進いたします



季節が初夏に映り替わろうとしている。私が異動してきたのが四月、連さんと入籍したのが五月、そして現在は六月の半ばに差し掛かろうとしている。

休日午後、私は広いマンションの室内を一室ずつ掃除している。撫子さんが使っていたこの部屋は、まさにお金持ちの邸宅そのもの。広々とした3LDKで、調度品はおそらくすべてデザイナーズ家具だろう。
私と妹が重宝していたホームセンターのカラーボックスなんて、絶対に置かないような部屋だ。
なお、三部屋あっても私が使っているのは寝室の一室だけ。もっと言えば、リビングひとつでも生活できる。
連さんからお借りしているので、一応こまめに掃除はして綺麗な状態を保っておかねばならない。

結婚からひと月、私はかわらず連さんの秘書業務に就いている。
本店営業部支店長の仕事は忙しい。午前中は会議か、支店内の数字管理や稟議の決済などのオフィスワーク。午後は、得意先とのアポイントメントや本部での仕事。支店長というだけでなく常務としての役割もあるので、支店長会議だけでなく、役員会にも出席しなければならない。夜は修の半分以上は会食やパーティーだ。
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