独占欲に目覚めた次期頭取は契約妻を愛し尽くす~書類上は夫婦ですが、この溺愛は想定外です~
約束通り、私たちは着替えて自宅マンションを出た。マンションは複合施設の一角にあるけれど、レジデンス棟はレストランやブティックなどの入る商業ビルからは少し離れ、マンション前は閑静だ。
休日の官公庁街はあまり人がいない。新橋方面に歩くと、連さん目当てのラーメン屋があった。
「たまに来るんだ。ここまで連れてきておいてなんだが、ラーメンは好きか? ラーメンでよかったか?」
「はい、地元ではよく家族三人で食べに行きました。美味しいところがあるんです」
「そういう話をもっと聞きたいな」
穏やかな笑顔を見せる連さん。その顔を見ていたら、今日一日の緊張感がするするとほどけていくのを感じた。
店内はカウンター席しかない。夕食時より早いせいか客は数人だ。
「今日は本当に御苦労だったな。ありがとう、初子」
注文を終えると、連さんが言う。私は首を振った。
「いえ、妻のお役目に適ったでしょうか?」
「充分だ、控えめだけど受け答えがはっきりしているから、賢い細君をもらったと思われただろうな。何より、今日の初子は格別可愛いかった。いつも可愛いが」
いきなりの可愛いの言葉に、思わず苦笑いしてしまった。連さんが唇を尖らせて付け足す。
「本当に可愛いと思ってるぞ。まあ、今日は普段より化粧がしっかりめだったから、初子の愛らしさが強調されていたな」
休日の官公庁街はあまり人がいない。新橋方面に歩くと、連さん目当てのラーメン屋があった。
「たまに来るんだ。ここまで連れてきておいてなんだが、ラーメンは好きか? ラーメンでよかったか?」
「はい、地元ではよく家族三人で食べに行きました。美味しいところがあるんです」
「そういう話をもっと聞きたいな」
穏やかな笑顔を見せる連さん。その顔を見ていたら、今日一日の緊張感がするするとほどけていくのを感じた。
店内はカウンター席しかない。夕食時より早いせいか客は数人だ。
「今日は本当に御苦労だったな。ありがとう、初子」
注文を終えると、連さんが言う。私は首を振った。
「いえ、妻のお役目に適ったでしょうか?」
「充分だ、控えめだけど受け答えがはっきりしているから、賢い細君をもらったと思われただろうな。何より、今日の初子は格別可愛いかった。いつも可愛いが」
いきなりの可愛いの言葉に、思わず苦笑いしてしまった。連さんが唇を尖らせて付け足す。
「本当に可愛いと思ってるぞ。まあ、今日は普段より化粧がしっかりめだったから、初子の愛らしさが強調されていたな」