独占欲に目覚めた次期頭取は契約妻を愛し尽くす~書類上は夫婦ですが、この溺愛は想定外です~
「初子と仲良くなりたいだけだよ。今まで軽いお付き合いをしてきたご婦人たちと同列では考えていない。家族として大事にしたいんだ。美味しいものを一緒に食べ、楽しいことを一緒にしたい」

そこまで言って、一応付け加ええる。

「あ、楽しいことってのは、セックスじゃないから安心しろ」

直接的な単語に、初子がぶわわっと首まで赤くなった。うーん、こうして照れる顔がいっそう可愛い。
本当に彼女は、どうして俺と結婚なんかできたんだろう。処女で、男性に触れられることすら緊張で固まってしまう彼女が、上司とはいえ、人妻契約を結ぶだなんて。

「初子の嫌なことはしないから。な、考えておいてくれ」
「……連さん」

初子がまだ赤い顔で言う。

「同居、承知しました」

お、心が動いたようだ。俺は近づき、初子の頭をぽんぽんと撫でた。それは妻へというより、ペットの子犬への接し方に近いとは思うけれど。

「ありがとう。それじゃあ、帰ったら内扉を開けておいてくれ」
「……はい」
「酔って帰っておまえを襲うことはないと誓うよ」
「……御冗談はおやめください」

半分冗談じゃないんだけどな。俺としては、初子さえよければ関係を結びたいと、いまだに思ってはいるんだが。
まあ、そこを急いで嫌われたくもないので、俺は紳士でいなければならないだろう。

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