独占欲に目覚めた次期頭取は契約妻を愛し尽くす~書類上は夫婦ですが、この溺愛は想定外です~
ベッドにそっと下ろす。窓から入る月灯りに照らされた愛らしい顔は、驚愕と不安で揺れていた。
駄目だ。頭でわかっていながら、片膝をついたベッドがきしむ。初子がびくんと肩を揺らした。これ以上近づいてはいけないのに。俺の手が初子の顎を持ち上げる。
心臓の音が内側で大きく響く。酒のせいか、どくどくうるさいくらいだ。そして初子の鼓動も早くなっていることが感じられた。白い肌の下に脈打つ血液、初子の香り。
「初子は経験がないんだろう」
なんの経験かは問わなくてもわかるはずだ。初子は震える唇でかすかに「はい」と答えた。
「初めての経験が契約の夫とでは困るか」
「いえ……そういうわけでは」
「嫌なことはしないと同居のときにも約束した。遠慮なく断れ」
そうしないと、俺はこのまま初子に何をしてしまうかわからない。自分でもこんなに堪え性が無いとは思わなかった。かれこれ三月近く一緒にいる可愛い妻。我慢できなくなるなんて。
「私は……連さんのことを上司と思っております」
「まだ、上司以上には思えないか」
「上司……以上に大事な存在と。旦那様ですから……」
言いながら矛盾を感じるのか視線をそらす初子。
「いずれ、……お別れするのですから、肉体の接触は持たずともよいのではないかと……思っています」
やはり初子の中では別れることが前提。それは変えられないことなのだろうか。
アルコールが入っているせいか、つい普段より欲求が先立つ。強引になってしまう。気づけば、そのまま初子をベッドに押し倒していた。
初子が喉の奥で引きつったように息を吸うのが聞こえた。
「以前も言ったが、俺は、離婚しなくてもいい」
「それは……連さんの将来にとっても、いいことではありません」
「それじゃ答えにならない」
駄目だ。頭でわかっていながら、片膝をついたベッドがきしむ。初子がびくんと肩を揺らした。これ以上近づいてはいけないのに。俺の手が初子の顎を持ち上げる。
心臓の音が内側で大きく響く。酒のせいか、どくどくうるさいくらいだ。そして初子の鼓動も早くなっていることが感じられた。白い肌の下に脈打つ血液、初子の香り。
「初子は経験がないんだろう」
なんの経験かは問わなくてもわかるはずだ。初子は震える唇でかすかに「はい」と答えた。
「初めての経験が契約の夫とでは困るか」
「いえ……そういうわけでは」
「嫌なことはしないと同居のときにも約束した。遠慮なく断れ」
そうしないと、俺はこのまま初子に何をしてしまうかわからない。自分でもこんなに堪え性が無いとは思わなかった。かれこれ三月近く一緒にいる可愛い妻。我慢できなくなるなんて。
「私は……連さんのことを上司と思っております」
「まだ、上司以上には思えないか」
「上司……以上に大事な存在と。旦那様ですから……」
言いながら矛盾を感じるのか視線をそらす初子。
「いずれ、……お別れするのですから、肉体の接触は持たずともよいのではないかと……思っています」
やはり初子の中では別れることが前提。それは変えられないことなのだろうか。
アルコールが入っているせいか、つい普段より欲求が先立つ。強引になってしまう。気づけば、そのまま初子をベッドに押し倒していた。
初子が喉の奥で引きつったように息を吸うのが聞こえた。
「以前も言ったが、俺は、離婚しなくてもいい」
「それは……連さんの将来にとっても、いいことではありません」
「それじゃ答えにならない」