『義賊の女王』-世界を救う聖女となる-
転生したけれど……
籠の中の鳥
暗い暗い書庫で、今日も課された本を永遠と読むだけの作業が行われる。
別に嫌ではない。 これだけは、ハッキリと言えた。
ただ、難点を言うならば、私はこの世界に産まれてから、未だに一度も外の世界に飛び出したことが無いと、いうこであろう。
「はぁ、もう、何千回目なのか……」
癖がはっきりとわかるほど、読み込まれた本を閉じて薄暗い書庫を眺める。
実は私はこの世界の正式な人物ではない。
なぜならば、私は以前に日本と呼ばれる国で普通に生活をしていたOLなのだから。
でも、飲み会帰りに泥酔してしまい。 よろよろと、左右を確認せずに道路を渡ろうと思ったのが運の尽。
ちょっと、脇見を運転をしていたタクシーに轢かれてしまい。
命を落としたハズ! ハズなのに⁉ なぜか、私はそのまま、別の世界に前世の記憶をもったまま転生しいたのだった。
「わけわかんない」
この言葉を産まれてから、何度呟いたことであろう。
聖女たるもの、こうでなくてはならい‼ と、幼いころから教育を受けてきた。
「聖女ねぇ」
重いため息が漏れる。
この世界の宗教で特殊な文化、『聖女教』の象徴たる人物を先祖代々選出しているらしい。
その素質が私にあると発覚し、急いで準備が進められ、私が十八の年齢になって成人すると同時に、外の世界へとようやく誘われることになっていた。
「もう少し……」
その成人するまで、あと三日。
私はようやく籠の鳥を抜け出せる喜びに溢れていたのに! のに‼
つい、先日とんでもないことを聞かされる。
「えぇ! 許嫁ですか⁉」
信じられない言葉が告げられた。
私が聖女としてデビューすると同時に、結婚相手まで決まっているというのだ。
相手は、この国の第二王子で顔も性格もまったくわからない。
「せっかくの晴れの世界なのに」
憂鬱という表現以外、何物でもない。
ハッキリ言って、嫌だ。 まだ、何もしていないのに、すぐに王家へと嫁ぐなんて考えられない。
もちろん、私の意思は関係なく、反抗することすら許されなかった。
だから、せめてと思い、聖女の儀式が始まる一日前から外出を付き人付きで許された。
「私の唯一の自由な時間が一日だけなんて」
それ以降は、王家の人として、また聖女として活動していかなければならない。
光栄なことだというのは、理解しているが、なんだか思った以上にときめかないし、息苦しい。
小さいときは、お城で過ごすことを夢見ていた時期もあったけれど、何か違うと思う。
「さて、もう少し読んだフリでもしようかしら」
本の適当なページを開いて、視線を落として読むフリをしていく。
しかし、私の脳内では、儀式の前の日に体験できる「普通」の日々を夢見ているのであった。
トントントンっと、履きなれない靴のかかとの位置を整えてから深呼吸を一度すると、扉を開けた。
そこは、まだ暖かくなる一歩手前の季節で、すっと抜ける風がまだ肌寒さを残している。
「新鮮」
そんな時期でも、私の内側に入ってくる空気は、屋敷の中とは違い心地よく、とても澄んでいた。
「聖女様、行きますか?」
お目付け役の爺に促され、私は唯一の自由な時間を満喫するために、一歩を踏み出していく。
固く整備された地面とは違い、歩くたびにジャリジャリっと音を奏でる足元に心がウキウキしてくる。
前世では当たり前であったことが、今は凄く目新しい。
「どこへ?」
淡泊なやり取り、気だるそうな感じに【面倒くさい】という、気持ちが漏れている。
だから、私はただこう言った。
「とりあえず、ぐるっと一周したいかな?」
大きなため息をつかれ、私は彼の背中を追いながら歩き出した。
日に焼けていない肌に、陽の光は強いのか、チリチリと痛み出していくも、それすら感動を覚えてしまう。
最初に訪れたのは、街の外れで行われている市を散策することだった。
この王都でも、庶民の味方である市場を見るのは大切な仕事だと思う。
しかし、私が想像していたような活気ある感じの市とは違い、どこか、暗く淀んだ空気が満ちていた。
「あれ? ここって市場よね?」
お店を出している人はまばらで、ボロボロで朽ちてしまいそうなお店もある。
所々で営業している人も、下ばかり見ており何も呼び込みすらない。
「どうかしたの?」
爺に様子を聞いてみると、再度ため息を吐かれると、淡々と語られた。
「どうもこうも、聖女様がこのような場所に来られることが間違っておられます。サラッと見て早く別の場所に行きましょう」
嫌な顔をしたまま、立ち去ろうとしたが、私はそれに構わずお店に立ち寄ることにした。
「こ、これ! どこに行かれますか!?」
「どこって、ここはモノを売り買いする場所でしょ?」
一番近くにあった、果物を売っているお店に入ると、女性の人がこちらをチラッとみると、顔色が変わり全身を舐めるように見つめてくる。
「これは、これは、どこぞの貴族様ですか? あなた様のようなご立派な人が口に入れられるような品はウチには置いておりませんよ?」
「えっと、貴族ではないんですが……ここでは、何が買えますか?」
小さな舌打ちが聞こえてくるなり、人差し指で手前の陳列された台を指された。
しかし、そこには、小さく古い果実が二個だけ置かれており、とてもじゃないけれど、売り物とは思えない。
これはいったい? 不審に思った私は、女性に事情を聴こうとした。
別に嫌ではない。 これだけは、ハッキリと言えた。
ただ、難点を言うならば、私はこの世界に産まれてから、未だに一度も外の世界に飛び出したことが無いと、いうこであろう。
「はぁ、もう、何千回目なのか……」
癖がはっきりとわかるほど、読み込まれた本を閉じて薄暗い書庫を眺める。
実は私はこの世界の正式な人物ではない。
なぜならば、私は以前に日本と呼ばれる国で普通に生活をしていたOLなのだから。
でも、飲み会帰りに泥酔してしまい。 よろよろと、左右を確認せずに道路を渡ろうと思ったのが運の尽。
ちょっと、脇見を運転をしていたタクシーに轢かれてしまい。
命を落としたハズ! ハズなのに⁉ なぜか、私はそのまま、別の世界に前世の記憶をもったまま転生しいたのだった。
「わけわかんない」
この言葉を産まれてから、何度呟いたことであろう。
聖女たるもの、こうでなくてはならい‼ と、幼いころから教育を受けてきた。
「聖女ねぇ」
重いため息が漏れる。
この世界の宗教で特殊な文化、『聖女教』の象徴たる人物を先祖代々選出しているらしい。
その素質が私にあると発覚し、急いで準備が進められ、私が十八の年齢になって成人すると同時に、外の世界へとようやく誘われることになっていた。
「もう少し……」
その成人するまで、あと三日。
私はようやく籠の鳥を抜け出せる喜びに溢れていたのに! のに‼
つい、先日とんでもないことを聞かされる。
「えぇ! 許嫁ですか⁉」
信じられない言葉が告げられた。
私が聖女としてデビューすると同時に、結婚相手まで決まっているというのだ。
相手は、この国の第二王子で顔も性格もまったくわからない。
「せっかくの晴れの世界なのに」
憂鬱という表現以外、何物でもない。
ハッキリ言って、嫌だ。 まだ、何もしていないのに、すぐに王家へと嫁ぐなんて考えられない。
もちろん、私の意思は関係なく、反抗することすら許されなかった。
だから、せめてと思い、聖女の儀式が始まる一日前から外出を付き人付きで許された。
「私の唯一の自由な時間が一日だけなんて」
それ以降は、王家の人として、また聖女として活動していかなければならない。
光栄なことだというのは、理解しているが、なんだか思った以上にときめかないし、息苦しい。
小さいときは、お城で過ごすことを夢見ていた時期もあったけれど、何か違うと思う。
「さて、もう少し読んだフリでもしようかしら」
本の適当なページを開いて、視線を落として読むフリをしていく。
しかし、私の脳内では、儀式の前の日に体験できる「普通」の日々を夢見ているのであった。
トントントンっと、履きなれない靴のかかとの位置を整えてから深呼吸を一度すると、扉を開けた。
そこは、まだ暖かくなる一歩手前の季節で、すっと抜ける風がまだ肌寒さを残している。
「新鮮」
そんな時期でも、私の内側に入ってくる空気は、屋敷の中とは違い心地よく、とても澄んでいた。
「聖女様、行きますか?」
お目付け役の爺に促され、私は唯一の自由な時間を満喫するために、一歩を踏み出していく。
固く整備された地面とは違い、歩くたびにジャリジャリっと音を奏でる足元に心がウキウキしてくる。
前世では当たり前であったことが、今は凄く目新しい。
「どこへ?」
淡泊なやり取り、気だるそうな感じに【面倒くさい】という、気持ちが漏れている。
だから、私はただこう言った。
「とりあえず、ぐるっと一周したいかな?」
大きなため息をつかれ、私は彼の背中を追いながら歩き出した。
日に焼けていない肌に、陽の光は強いのか、チリチリと痛み出していくも、それすら感動を覚えてしまう。
最初に訪れたのは、街の外れで行われている市を散策することだった。
この王都でも、庶民の味方である市場を見るのは大切な仕事だと思う。
しかし、私が想像していたような活気ある感じの市とは違い、どこか、暗く淀んだ空気が満ちていた。
「あれ? ここって市場よね?」
お店を出している人はまばらで、ボロボロで朽ちてしまいそうなお店もある。
所々で営業している人も、下ばかり見ており何も呼び込みすらない。
「どうかしたの?」
爺に様子を聞いてみると、再度ため息を吐かれると、淡々と語られた。
「どうもこうも、聖女様がこのような場所に来られることが間違っておられます。サラッと見て早く別の場所に行きましょう」
嫌な顔をしたまま、立ち去ろうとしたが、私はそれに構わずお店に立ち寄ることにした。
「こ、これ! どこに行かれますか!?」
「どこって、ここはモノを売り買いする場所でしょ?」
一番近くにあった、果物を売っているお店に入ると、女性の人がこちらをチラッとみると、顔色が変わり全身を舐めるように見つめてくる。
「これは、これは、どこぞの貴族様ですか? あなた様のようなご立派な人が口に入れられるような品はウチには置いておりませんよ?」
「えっと、貴族ではないんですが……ここでは、何が買えますか?」
小さな舌打ちが聞こえてくるなり、人差し指で手前の陳列された台を指された。
しかし、そこには、小さく古い果実が二個だけ置かれており、とてもじゃないけれど、売り物とは思えない。
これはいったい? 不審に思った私は、女性に事情を聴こうとした。
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