『義賊の女王』-世界を救う聖女となる-
「おーい 聖女さま」
ドンドンと扉を叩かれて目覚めると、ラバルナの声が聞こえてくる。
十分に休めたようで、体の調子は良かった。
「なに? ちょっと待ってて」
急いで着替えを済ませて外にでると、彼とジャマル隊の隊長さんが私を待っている。
少しいつもと雰囲気が違うので、勝手に体が緊張していくのがわかった。
「お、来た来た」
「何かあったの? それと、私は聖女じゃなくて……」
「ん? あぁ、悪い悪い、それで話なんだが」
ちっとも悪いと思っていない態度で会話を始めていく。
たまにミステリアスな雰囲気があったりと、掴みどころがない人だと思った。
「レイナ様、朝早くから申し訳ございません、実は急な任務ができまして是非ご同行を」
任務? ここに来てからずっと訓練ばかりでいつでも実戦に向かえるようにしていたが、ついにその日が来たのか、否応なしに力が入っていく。
仕事の詳細を隊長のファルスが説明してくれたが、どうやら今回は王都までの荷駄の護衛だった。
「王都まで? 私が同行しても良いの? それにあなたたちだって」
「待て待て、言いたいことはわかる。だが、これは正規の荷駄じゃない、本来なら王都へ入る段階でかなりの税を課せられる。だから、商人たちは王都へ品を届けなくなりつつあるんだよ」
なるほど、それがあの市場の現状に繋がっているということなのか、だったら猶更危険な目にあいそうなのに、そう思っていると説明が続けられていく。
「しかし、このままだと王都への物品が今まで以上に薄くなり、民は困窮し、税が下がると民から徴収するの悪循環が発生する。もっとも、すでに始まっており、近隣の村や町までその影響は及んでいるんだ、これ以上酷くなる前になんとしなければならない」
「それじゃ、どうやって税関を潜り抜けるつもりなの?」」
「それは、蛇の道は蛇っていうじゃないか心配するな、俺たちは安全に物資を王都へ入れれば任務は達成させられる」
つまり、私たちがやろうとしていることは、政府側から見ると密輸ということになるのか、それでも民が助かるというのなら私は迷わない。
「わかったわ、それで? どうやって行くの?」
作戦行動に関してファルスが説明してくる。
約十騎のジャマル隊の編成で警護を行うようで、運べる荷物の量が限られているうえに大規模な部隊は敵に発見されやすいため、必要最小限の人数で行うようだ。
「ジャマルに慣れてばかりで申し訳ないが、同行してくれ。俺は少し用事があってな、まぁ今まで一度も襲撃らしいものは無かったから大丈夫だと思うが」
王都付近まで荷駄隊を送り届け、内通者に品を引き渡すと安い金額で市場に出回る。
政府へは税への税は減り、人々は助かるのだというが、流石に救える規模が限られていた。
それでも良い、少しづつで構わないから誰かの手助けになるのなら、違法だろうが関係ないと思う。
「わかりました。その任務、お受けいたします」
グッと手を握り力を入れる。
爪が掌に食い込んでいき、自分の初仕事に気合を入れた。
『レイナ、頑張ってね。私も似たようなことをやっていたから、時がたってもやることはあまり変わらないのかも』
ソマリの声が聞こえてくる。
ただ、彼女は最初は無の状態からスタートし、徐々に人が集まってきた。
それに比べたら私はまだ恵まれているのかもしれない。
「よっし! 準備開始、人員はこちらで揃えておきますので、レイナ様も」
頷くき部屋に戻ろうとすると、声がかけられた。
「聖女様の初仕事、期待しているぞ」
「――私はもう聖女じゃありません」
キリっとラバルナを見つめると、にやりと笑う。
「悪かったよレイナ、頑張れ」
返事はせずに自分の精神状態を整えていく。
過去失敗はない任務と言えど、やはり初めての仕事というのは緊張しないわけがない。
「頑張ろう」
腰にジャマルに乗って戦う用のサーベルと、もう片方には降りて戦う用の剣を持って立ち上がる。
ザクっと重みがました腰回りを隠すように、マントとフードを被ると私のジャマルへと向かっていく。
「さぁ、行くわよ。よろしくね」
スリスリと寄ってきて甘えてくるのが可愛らしい、つい先日まで乗れなかったのに今は自由に乗りこなせていた。
これもきっとソマリの力が作用しているのかもしれない。
『えへへへ、レイナカッコいい』
「ありがとう、でも気は抜けないからね」
ジャマルの頭の向きを変えて、フォルスさんたちが待つ場所へと歩き出した。
まずは荷駄隊と合流し、そのまま王都へと向かっていく。 これが私の記念すべき第一歩だった。
ドンドンと扉を叩かれて目覚めると、ラバルナの声が聞こえてくる。
十分に休めたようで、体の調子は良かった。
「なに? ちょっと待ってて」
急いで着替えを済ませて外にでると、彼とジャマル隊の隊長さんが私を待っている。
少しいつもと雰囲気が違うので、勝手に体が緊張していくのがわかった。
「お、来た来た」
「何かあったの? それと、私は聖女じゃなくて……」
「ん? あぁ、悪い悪い、それで話なんだが」
ちっとも悪いと思っていない態度で会話を始めていく。
たまにミステリアスな雰囲気があったりと、掴みどころがない人だと思った。
「レイナ様、朝早くから申し訳ございません、実は急な任務ができまして是非ご同行を」
任務? ここに来てからずっと訓練ばかりでいつでも実戦に向かえるようにしていたが、ついにその日が来たのか、否応なしに力が入っていく。
仕事の詳細を隊長のファルスが説明してくれたが、どうやら今回は王都までの荷駄の護衛だった。
「王都まで? 私が同行しても良いの? それにあなたたちだって」
「待て待て、言いたいことはわかる。だが、これは正規の荷駄じゃない、本来なら王都へ入る段階でかなりの税を課せられる。だから、商人たちは王都へ品を届けなくなりつつあるんだよ」
なるほど、それがあの市場の現状に繋がっているということなのか、だったら猶更危険な目にあいそうなのに、そう思っていると説明が続けられていく。
「しかし、このままだと王都への物品が今まで以上に薄くなり、民は困窮し、税が下がると民から徴収するの悪循環が発生する。もっとも、すでに始まっており、近隣の村や町までその影響は及んでいるんだ、これ以上酷くなる前になんとしなければならない」
「それじゃ、どうやって税関を潜り抜けるつもりなの?」」
「それは、蛇の道は蛇っていうじゃないか心配するな、俺たちは安全に物資を王都へ入れれば任務は達成させられる」
つまり、私たちがやろうとしていることは、政府側から見ると密輸ということになるのか、それでも民が助かるというのなら私は迷わない。
「わかったわ、それで? どうやって行くの?」
作戦行動に関してファルスが説明してくる。
約十騎のジャマル隊の編成で警護を行うようで、運べる荷物の量が限られているうえに大規模な部隊は敵に発見されやすいため、必要最小限の人数で行うようだ。
「ジャマルに慣れてばかりで申し訳ないが、同行してくれ。俺は少し用事があってな、まぁ今まで一度も襲撃らしいものは無かったから大丈夫だと思うが」
王都付近まで荷駄隊を送り届け、内通者に品を引き渡すと安い金額で市場に出回る。
政府へは税への税は減り、人々は助かるのだというが、流石に救える規模が限られていた。
それでも良い、少しづつで構わないから誰かの手助けになるのなら、違法だろうが関係ないと思う。
「わかりました。その任務、お受けいたします」
グッと手を握り力を入れる。
爪が掌に食い込んでいき、自分の初仕事に気合を入れた。
『レイナ、頑張ってね。私も似たようなことをやっていたから、時がたってもやることはあまり変わらないのかも』
ソマリの声が聞こえてくる。
ただ、彼女は最初は無の状態からスタートし、徐々に人が集まってきた。
それに比べたら私はまだ恵まれているのかもしれない。
「よっし! 準備開始、人員はこちらで揃えておきますので、レイナ様も」
頷くき部屋に戻ろうとすると、声がかけられた。
「聖女様の初仕事、期待しているぞ」
「――私はもう聖女じゃありません」
キリっとラバルナを見つめると、にやりと笑う。
「悪かったよレイナ、頑張れ」
返事はせずに自分の精神状態を整えていく。
過去失敗はない任務と言えど、やはり初めての仕事というのは緊張しないわけがない。
「頑張ろう」
腰にジャマルに乗って戦う用のサーベルと、もう片方には降りて戦う用の剣を持って立ち上がる。
ザクっと重みがました腰回りを隠すように、マントとフードを被ると私のジャマルへと向かっていく。
「さぁ、行くわよ。よろしくね」
スリスリと寄ってきて甘えてくるのが可愛らしい、つい先日まで乗れなかったのに今は自由に乗りこなせていた。
これもきっとソマリの力が作用しているのかもしれない。
『えへへへ、レイナカッコいい』
「ありがとう、でも気は抜けないからね」
ジャマルの頭の向きを変えて、フォルスさんたちが待つ場所へと歩き出した。
まずは荷駄隊と合流し、そのまま王都へと向かっていく。 これが私の記念すべき第一歩だった。