『義賊の女王』-世界を救う聖女となる-
目の前に二体、狭いところを想定しているのか外の敵よりも随分と小柄な武器をもっていた。
「気を付けて」
ブンっと振り下ろされた棍棒を避けようとすると、何かに足をとられてしまう。
「⁉」
「レイナ様ぁ!!」
誰かが私を支えてくれ、次の攻撃をなんとか回避した。
よく見てみると、先ほどの個体とは違う魔人が同じように炭になっていた。
おそらく、まだ数体ほど転がっている可能性はある、気を付けてなければならない。
「一体は私が引き受けます! 他のをお願い」
兵たちの返事が聞こえてくるが、どこか覇気がないのはきっとこの洞窟の性質にやられているのだろう。
しかし、相手の動きも随分と鈍い気がした。
「ソマリ……力を貸して」
『もちろん、任せてレイナ』
ポゥっと光の玉が私の周りを飛び始め、剣と体に入り込んでいく。
さぁ、踏ん張るのよ! ギャリっと地面を強く踏み込み一気に懐に入り込んでいった。
「はぁぁぁあ!!」
「グルガァァァァァァ!!」
バゴンッ! 横にあった発光苔が付着した岩が砕けその破片が飛び散り、目に入り込んでくる。
「くっ⁉」
それを隙と見たのか、拳が私をめがけてきた。
走り出した右足を止めて、勢いを利用しそのまま後ろへと飛び跳ねると、ゴウッと空気の音が聞こえてきた。
懐に入りたいけれど、この魔人は他のと違い冷静に戦闘を行えているような気がする。
『レイナ、この個体ちょっと違うわね』
全身の力を抜いていく、だらりと腕は下げ全神経を足にもっていく。
「ソマリ、最近思うの私ってもしかすると、あなたが生きていたころよりもじゃじゃ馬なんじゃないかって」
ズッ……バンッ!! 一気に敵の間合いに入る。
「ブルルルガァァァ!!」
「何にそんなに怯えているの?」
力強く五人以上で囲んでも中々倒せない存在、それが魔人なのだがそんな存在が焦り何かに怯えているように思えて仕方がない。
棍棒が私めがけて振り下ろされる、空気の流れを頼りに避けると隣から岩が砕ける音が聞こえてくる。
同じ手は効かない! 左手で顔を庇いながら左手の攻撃を屈んで避けた。
この魔人は他と違う、だけど学習能力は低いようだった。
「もう怯えることなく、永遠に眠りなさい、ここには水も光もあるから……」
一撃、膝を斬るとグラッとよろめくが、武器で反撃してくる。
背後に回り込もうとすると、左手の裏拳が襲い掛かってきたが、顔を後ろにずらすと鼻先をかすめていく。
触れていないのに、肌にピリピリとした痛みを感じた。
「次!」
今度はこちらの番、背後から太もも、背中と順番に斬りつけていくと魔人の叫び声が洞窟に響き渡る。
それに驚いた隣の魔人、それを見逃さなかった兵たちは囲いを縮めて武器を魔人に突き刺していく。
「さぁ、神話の悪夢が終わるときがきたのよ」
『……しろい』
(⁉ ソマリなの?)
返事が無い、だが誰かが確実に私に話しかけてきた。
魔人がこちらを振り向き、再度攻撃をしかけようとしている。
『面白い!! 魔人どもの相手は飽きた、どれ変なヤツも混じっておるが我も力を貸そうではないか』
攻撃を避けようとしたとき、苔に足をとられバランスが一瞬崩れてしまった。
横一撃、今度は小細工なしに私を正確にとらえてきている。
「マズイ!」
剣で受け止めるしかない、しかし、そうすれば武器は折れて自分も無事ではないだろう。
だが、今はそれしかない。 剣を構えたとき不思議なことがおこった。
パチッと、何かが弾けるおとが聞こえたかと思うと武器が炎に包まれていく。
「え……」
そして、そのまま棍棒が剣に当たる。
ぐっと力を入れて耐えようと思ったが、想像していた衝撃は訪れなかった。
ガギンッ!! 相手の武器を見事に受け切っている。
「う、うそ」
煌々と燃え上がる炎が、魔人の強力な一撃を防いだ。
いや、防ぐどころか弾き返そうとしている。
少しグッと力をこめると押し返していく、相手も何が起きているのか理解できておらず困惑していた。
『ちょ、ちょっと! なんなのよアナタは⁉』
『あぁ? いいじゃねぇか、楽しもうぜ』
私の中でソマリと何かが話し始めていた。
「うるさいから黙っていてよ!」
敵の武器をはねのけ、懐に入ろうとすると今度は左手が振り下ろされてくる。
しかし、避けることはせずにタイミングをあわせて炎の剣で斬ってみると、今まで抵抗しか感じなかった筋肉質と骨があっさりと斬れてしまう。
「ピギャアアアアッ!!」
何が起きたのか、ただ痛みだけに支配された魔人。
バタバタと暴れ始め、冷静さを失った。 今度こそ近づくと、その腹部からわき腹に向かって一閃、確実にしとめた手ごたえが伝わってくる。
二体の魔人の叫喚が天井や地面を揺らしていく、次々に武器を刺していく部下たちと私に手を向けながらも息絶えていく魔人。
そして、ついに二つの鼓動は止まった。
「う」
「うわぁぁぁぁぁあ!」
「レイナ様ぁぁぁ!」
怪我をした人はいるけれど、どうやら全員無事のようで安堵する。
だけど、先ほどから何? 私の中がうるさいのだけど……。
『何よ⁉ やる気?』
『おうおう、人間にしては随分と強気だな、面白れぇじゃねえかやってやるぞ!!』
「気を付けて」
ブンっと振り下ろされた棍棒を避けようとすると、何かに足をとられてしまう。
「⁉」
「レイナ様ぁ!!」
誰かが私を支えてくれ、次の攻撃をなんとか回避した。
よく見てみると、先ほどの個体とは違う魔人が同じように炭になっていた。
おそらく、まだ数体ほど転がっている可能性はある、気を付けてなければならない。
「一体は私が引き受けます! 他のをお願い」
兵たちの返事が聞こえてくるが、どこか覇気がないのはきっとこの洞窟の性質にやられているのだろう。
しかし、相手の動きも随分と鈍い気がした。
「ソマリ……力を貸して」
『もちろん、任せてレイナ』
ポゥっと光の玉が私の周りを飛び始め、剣と体に入り込んでいく。
さぁ、踏ん張るのよ! ギャリっと地面を強く踏み込み一気に懐に入り込んでいった。
「はぁぁぁあ!!」
「グルガァァァァァァ!!」
バゴンッ! 横にあった発光苔が付着した岩が砕けその破片が飛び散り、目に入り込んでくる。
「くっ⁉」
それを隙と見たのか、拳が私をめがけてきた。
走り出した右足を止めて、勢いを利用しそのまま後ろへと飛び跳ねると、ゴウッと空気の音が聞こえてきた。
懐に入りたいけれど、この魔人は他のと違い冷静に戦闘を行えているような気がする。
『レイナ、この個体ちょっと違うわね』
全身の力を抜いていく、だらりと腕は下げ全神経を足にもっていく。
「ソマリ、最近思うの私ってもしかすると、あなたが生きていたころよりもじゃじゃ馬なんじゃないかって」
ズッ……バンッ!! 一気に敵の間合いに入る。
「ブルルルガァァァ!!」
「何にそんなに怯えているの?」
力強く五人以上で囲んでも中々倒せない存在、それが魔人なのだがそんな存在が焦り何かに怯えているように思えて仕方がない。
棍棒が私めがけて振り下ろされる、空気の流れを頼りに避けると隣から岩が砕ける音が聞こえてくる。
同じ手は効かない! 左手で顔を庇いながら左手の攻撃を屈んで避けた。
この魔人は他と違う、だけど学習能力は低いようだった。
「もう怯えることなく、永遠に眠りなさい、ここには水も光もあるから……」
一撃、膝を斬るとグラッとよろめくが、武器で反撃してくる。
背後に回り込もうとすると、左手の裏拳が襲い掛かってきたが、顔を後ろにずらすと鼻先をかすめていく。
触れていないのに、肌にピリピリとした痛みを感じた。
「次!」
今度はこちらの番、背後から太もも、背中と順番に斬りつけていくと魔人の叫び声が洞窟に響き渡る。
それに驚いた隣の魔人、それを見逃さなかった兵たちは囲いを縮めて武器を魔人に突き刺していく。
「さぁ、神話の悪夢が終わるときがきたのよ」
『……しろい』
(⁉ ソマリなの?)
返事が無い、だが誰かが確実に私に話しかけてきた。
魔人がこちらを振り向き、再度攻撃をしかけようとしている。
『面白い!! 魔人どもの相手は飽きた、どれ変なヤツも混じっておるが我も力を貸そうではないか』
攻撃を避けようとしたとき、苔に足をとられバランスが一瞬崩れてしまった。
横一撃、今度は小細工なしに私を正確にとらえてきている。
「マズイ!」
剣で受け止めるしかない、しかし、そうすれば武器は折れて自分も無事ではないだろう。
だが、今はそれしかない。 剣を構えたとき不思議なことがおこった。
パチッと、何かが弾けるおとが聞こえたかと思うと武器が炎に包まれていく。
「え……」
そして、そのまま棍棒が剣に当たる。
ぐっと力を入れて耐えようと思ったが、想像していた衝撃は訪れなかった。
ガギンッ!! 相手の武器を見事に受け切っている。
「う、うそ」
煌々と燃え上がる炎が、魔人の強力な一撃を防いだ。
いや、防ぐどころか弾き返そうとしている。
少しグッと力をこめると押し返していく、相手も何が起きているのか理解できておらず困惑していた。
『ちょ、ちょっと! なんなのよアナタは⁉』
『あぁ? いいじゃねぇか、楽しもうぜ』
私の中でソマリと何かが話し始めていた。
「うるさいから黙っていてよ!」
敵の武器をはねのけ、懐に入ろうとすると今度は左手が振り下ろされてくる。
しかし、避けることはせずにタイミングをあわせて炎の剣で斬ってみると、今まで抵抗しか感じなかった筋肉質と骨があっさりと斬れてしまう。
「ピギャアアアアッ!!」
何が起きたのか、ただ痛みだけに支配された魔人。
バタバタと暴れ始め、冷静さを失った。 今度こそ近づくと、その腹部からわき腹に向かって一閃、確実にしとめた手ごたえが伝わってくる。
二体の魔人の叫喚が天井や地面を揺らしていく、次々に武器を刺していく部下たちと私に手を向けながらも息絶えていく魔人。
そして、ついに二つの鼓動は止まった。
「う」
「うわぁぁぁぁぁあ!」
「レイナ様ぁぁぁ!」
怪我をした人はいるけれど、どうやら全員無事のようで安堵する。
だけど、先ほどから何? 私の中がうるさいのだけど……。
『何よ⁉ やる気?』
『おうおう、人間にしては随分と強気だな、面白れぇじゃねえかやってやるぞ!!』