Last Melody


塚本先輩は私のみぞおちの辺りを蹴ってきた


「俺と付き合ったからこうなった?
俺のせいにすんじゃねーよ!」


私は先輩にまたみぞおちを蹴られる


1回だけじゃなくて何回も


「やめて……」


私は今まで良くしてくれた先輩に殴られて


体よりも心が痛かった


涙が止まらなかった


先輩のやり方も卑怯で


顔だと傷でバレるから服がある所しか蹴ってこない



「……もう…いや!!」


私は必死に抵抗したけど


それでも先輩はやめてくれなかった



そこに


『パシャ』



後ろからシャッター音みたな音が聞こえた

その音の方を見ると


うちの学校の女の生徒が居た


あの子……同じクラスの子?


「何撮ってんだよ」


塚本先輩はこの光景を撮られたことに顔を青ざめていた


「これ、学校に写真付きでメール送ってもいいすか?」


その子は先輩に脅すように写真を見せてきた


「……やめてくれ」


先輩は震えた声で言った


「じゃあもうやめてあげなよ
かっこ悪、力で強く見せようとかダサいすよ?」



「……!」


先輩は逃げるように帰っていった



私はまだズキズキと痛むお腹を押さえて


「ありがと」


私はその子にお礼を言う


「散々だったね、可愛そうにな」


この子は確か、いつも授業中イヤホンを付けて寝て先生に怒られてる子だよね……


確か名前は


"山瀬紅美"


不良少女って言われてた気がする



「あんた、前も傷だらけで学校来てたじゃん
大丈夫?」



なんで喋ったことないのにそんなこと知ってんの?


と思ったけど


「大丈夫……じゃないよ」


私は涙がまた込み上げてくる



「なんでこんな目に会わないといけないの…」


「気の毒だけど何も言えないよ」


紅美は私を抱きしめた


「何も言えない…ごめんね」


何故か紅美も泣いていた




なんで泣いてるのかわからなかったけど


この子…ほんとは優しいんだ



それから私は紅美とよく話すようになって



今では1番の親友になっていった





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