永遠を約束するのは、夢の世界で
夢の国と呼ばれていても、時間は止まってくれることはない。あっという間に夕方になっていく。蒼はさりげなく夢芽を連れ、シンデレラ城の前へとやってきた。

いよいよ言う時が来た。そう思うと、先ほどまでカリブの海賊などで楽しんでいた気持ちは消え、もしも断られたらという不安や失敗してしまったらという緊張が現れていく。夢芽とつないでいる手が震えてしまった。

「蒼くん?」

夢芽が心配そうに見つめる。ダメだ、夢の国でこんな顔をさせちゃ……。そう思い、蒼は夢芽の方をしっかりと見つめた。手は再び離れ、片方の手はかばんの中から小さな箱をしっかりと手にする。

「夢芽はさ、覚えてる?僕が夢芽に告白した時のこと」

「もちろん覚えているよ。このシンデレラ城の前だったよね」

懐かしい、と夢芽は微笑む。やっぱりあの時のように、ドラマティックな台詞なんて出てこない。この日のために調べてきたはずなのに、全部頭の中から消されていた。
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