俺様な幼なじみは24年前の約束を忘れない
「え?わたし?」
「そう。莉子にぜひ創立パーティに来てほしいんだ。」
晃ちゃんがニコニコしながら言った。
「ど、どうして?」
私は香子の姉ではあるけれど、柳田総合病院とは直接関係がない。
お祝いの気持ちはもちろんあるけれど、パーティに出席して創立50周年をお祝いするほどの気持ちはなかった。悪いけど。
「当日、パーティの最初の部分は記念式典になるんだけど、その間、俺は、壇上に上がって挨拶をしたり、なんやかんや忙しいんだ。
パーティの途中で婚約の発表をするんだけど、それまで香子の側にいることができなくて。
だから、莉子が一緒にいてやってくれないかな。莉子がいたら、香子も心強いし。」
晃ちゃんが困ったように言った。
「莉子、お願い!
誰も知らないところで、一人で待つのはイヤなの。一緒にいって!お願い!」
香子も一生懸命頭を下げてくる。
一人で待つのはイヤって、昔も聞いたなと思いながら、うーんと考える。
私はパーティとか飲み会とか、そういう場が苦手だ。
ましてや、いかにもセレブが集まっていそうなパーティなんて、絶対に行きたくない。
「莉子ー」
香子が目をうるうるさせて、迫ってくる。
ただ、本当に香子の頼みには弱い…。
香子め、それをわかって迫ってきてるな。
ふーっと息をはく。
「わかった。婚約の発表をするまで一緒にいてあげる。晃ちゃんに香子を渡したら、帰っていいんだよね?」
「助かるよ、莉子。途中で帰ってもらってかまわない。
パーティが始まって、30分後くらいに発表の予定だから、悪いけどそれまでだけお願いできるかな?」
「莉子ー。ありがとう!大好き!」
そのセリフ本当によく聞くんだよなと思いながら、
「わかったよ。」と苦笑いで答えた。