俺様な幼なじみは24年前の約束を忘れない
「あなた、凌介にまとわりついてるって噂の図書館司書よね。」
上から下までじろじろ見ながら、綺麗な女医さんが言った。
「まとわりついてはいませんが。」
小さな声で答える。
出た、出た!恐れていた事態。
これがイヤだから、職場で絡みたくなかったのに!
「司書のくせに、ドクターに色目使うなんていい度胸ね。」
もみじさんが聞いたら、つかみかかって大喧嘩になりそうなことをおっしゃる。
「コロッケなんて安っぽいもので釣ろうとしてるんでしょ?」
女医さんは、鼻で笑うように言った。
「身の程をわきまえるのね。」
言い捨てると、颯爽とその場を後にした。
いや、あなた誰?
しかし、こんな小説みたいな展開本当にあるんだ。私は逆に感心した。
心臓外科のナースたちが息を潜めて、私たちのやり取りをみていた。
これは、エリート心臓外科医をめぐる女医と図書館司書の戦い、なんて噂をまたたてられるかも。
私が何をしたと言うんだ。
いや、コロッケは作ったが。
コロッケの呪い?
私はやれやれと思いながら、デリ蔵を押しながら、図書館に帰っていった。