俺様な幼なじみは24年前の約束を忘れない
残酷な言葉
「香子!」
化粧室を出ると、晃ちゃんが小走りで近寄ってきた。
「どうした?大丈夫か?」
相変わらず私のことはスルーして、香子のことしか見てないね。
「大丈夫。」
そう言うと、香子は、晃ちゃんにギュッと抱きつき、
「晃ちゃん大好き!」ニッコリと微笑んだ。
突然の香子の告白に、晃ちゃんが頬を染める。
「俺も香子が大好きだよ。」そっと香子を抱きしめる。
馬鹿馬鹿しい。他所でやってくれ。
私は、コホンと咳をし、
「晃ちゃん、迎えに来てくれたの?香子を渡しても大丈夫?」
と冷めた口調で聞いた。
私の存在にハッと気づいた晃ちゃんは、「あっ!莉子ありがとう。
うん。もう婚約発表の時間だから、香子を連れていくね。」
と言った。
「じゃあ、よろしくお願いします。
私は適当に帰らせてもらうね。香子、頑張って!」
「うん、ありがとう!莉子大好き!」
いつものセリフ。香子はもう大丈夫だ。
「莉子、これ。
送って行けなくて悪い。帰りはタクシーで帰って。」
と言って、晃ちゃんは封筒に入れたお金を渡してくれた。
いつもなら断るところだけど、今日は慣れない格好だし、もうクタクタだ。
ありがたく頂くことにした。