俺様な幼なじみは24年前の約束を忘れない
二人を見送った後、もう一度会場に戻る。
最後まで見届けて帰ろう。
お母さんも心配してるし。
会場の隅に目立たないように立つ。
司会者の人が登場し、婚約発表が始まった。
会場からは悲鳴のような声が聞こえた。
香子の存在を知らずに、晃ちゃんを狙って来てる人もいただろう。
さっきの市会議員のお嬢様のように。
晃ちゃんの横に香子が立つ。
「婚約者の、片岡香子さんです。」
紹介を受け、香子はキレイなお辞儀をした。
その後、ゆっくりと頭を上げ、まっすぐに前を向いて立つ。
凛とした香子の姿は、本当に美しかった。
私は、軽く涙をぬぐった。
いけない!今はイリュージョン中。
目を擦ったらダメだった。
発表が終わると、二人は挨拶に回るようだ。
にこやかに挨拶をする香子を見届けて、ホッと息をついた。