俺様な幼なじみは24年前の約束を忘れない

ボクは悲しくなってきた。

なぜだろう。
どうしてもこの子が欲しい。

この前の誕生日に、前から欲しかったミニカーのセットをもらったところだったけど、それよりもずっとずっと欲しいのだ。

『ちょうだい、ちょうだい』
涙が溢れてきた。

すると、その声に驚いたのか、赤ちゃんたちもオギャアオギャアと泣き始め、病室は三人の泣き声で大騒ぎになってしまった。

『あらあら。』
母が赤ちゃんを抱き上げたので、握っていた指を離されてしまう。

さらにわぁわぁ泣くと、普段は穏やかな父が呆れて、いい加減にしろと怒りだした。

『わかった!凌ちゃんに莉子をあげる。』
由紀子ちゃんが言い出した。

『ほんと?ほんとに くれるの?』
ヒックヒックと泣きながら聞いた。

『凌ちゃんはこの前お誕生日が来て、三歳になったよね?』

『うん。ボク さんさいになったよ。』指を三本たてて答える。

『莉子は一昨日生まれたばっかりだから、来年のお誕生日が来たら一歳になるの。』

由紀子ちゃんは、ちょっと考えて、

『そうだなぁ。莉子のお誕生日が、あと25回来たら、凌ちゃんに莉子をあげるよ。どう?』

とニコニコしながら、言った。

25回?
それはどれくらい先なんだろう。
まだ数をあまり数えられないから、わからないけど。

『それでいい。』

くれるなら少し後になってもいいや。

ようやく泣き止んで、母の腕の中にいる赤ちゃんの側にいった。

もう一度、小さな握りこぶしを触ってみる。

すると、やっぱり手をパカッと開いて、ボクの指をギュッと握った。

ほらね、やっぱりボクといたいんだって。

『ゆびきりげんまん。ウソついたら、ハリせんぼん のーます。』

歌いながら、小さく指を動かした。


やくそくだよ。りこちゃん。

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