俺様な幼なじみは24年前の約束を忘れない
私の身の丈ってどれくらい?
*◇*◇*
「デリ行ってきまーす。」
今日も黙々とデリ番をこなす。
あのパーティの日から、二週間が経った。
香子は何か吹っ切れたように明るくなり、結婚準備に励んでいる。
私はと言うと、あの日から徹底的に凌ちゃんを避けた。
スマホのメッセージやメール、電話も全て無視をした。
家にもたまにご飯を食べにきたが、先に情報をキャッチして、凌ちゃんが来る日は、もみじさんと飲みに行ったり、残業をするようにしていた。
幸いにも、もみじさんの痛めていた足が復調し、
「莉子ちゃん!しばらくは私がデリ番するからね。」
と張り切るので、素直に甘えることにした。
最近は連絡もなくなり、見かけなくなったなと思っていたら、アメリカに研修に行ったらしい。
もっと早く行く予定だったけど、創立記念パーティがあったので、時期をずらしたそうだ。
なんというグッドタイミング!
毎朝仏壇に手を合わせた甲斐があったというものだ。
ようやく私の願いを聞き入れてくれたご先祖様ありがとう。
凌ちゃんと遭遇する心配がなくなったので、デリ番も元通り復活させ、ようやく穏やかな生活が戻ってきた。
ただ、ふとした時に考えてしまうのは、あの時の言葉だ。
お前は付き添いだから、香子と同じように着飾るなっていうことだよね。
何それ?
自分が身分の低い女だってことを思い知れってこと?
で、自分は大きな病院の御曹司だから、身分が高い?
日本は身分制度でもあるのか!
わかりましたとも。
身分の高い凌介様からのご連絡は今後一切けっこうですっ!
ふんっと頭を反らせて憤る。
でも、その後下を向いた。
わかってる。
怒って気を紛らわそうとするが、本当は凌ちゃんに会うのが、恥ずかしいのだ。
柄にもなく着飾って、ちょっとみんなに綺麗なんて言われて、浮き足だっているのを見透かされた。
凌ちゃんに会いたくないのは、キツいことを言われた悔しさからではなく、羞恥心からなのだ。