俺様な幼なじみは24年前の約束を忘れない
新しい道
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私はあれからよく考えて、結局、彩西医科大学の図書館を退職することにした。
家族にも相談したところ、自宅暮らしでもあるし、給料が減っても大丈夫と背中を押してもらえたのだ。
今は、司書の仕事と新しく開設する図書館の準備で、忙しくも楽しい毎日を送っている。
一緒に新たなことに挑戦する友達は、森山由香といって、高校時代からの親友だ。
由香とは、本好きという共通点から親しくなり、ずっとつきあいが続いている。
図書館は、本の持ち主である由香の伯父様の自宅一階をリフォームして開設することになった。
伯父様の家は古い洋館で、庭には伯母様が趣味で育てた小さなバラ園があり、童話に出てくるような素敵なお家だった。
図書館はカフェを併設することにして、本を読みながら、食事を取ったり、お茶を飲んだりできるようにする。
カフェの方は、同じく高校時代からの友達に任せることになった。
丸山悠子ちゃんというその人は、高校を卒業した後、調理師の専門学校に行き、都内のイタリアンレストランで働いていた。
丸ちゃんというあだ名通り、ふくふくとした優しい雰囲気の人だ。
丸ちゃんは、私たちの誘いを喜んで受けてくれて、三人で頑張っていくことになった。
カフェの食事は大人用と子ども用のランチプレートのみ。有機野菜をふんだんに使って、体に優しい日替わりランチにする。
ケーキも日替わりで二種類出し、私と由香がホール係りを兼任することになった。
席数も多くないので、こなしていけるだろう。
図書館は、月額2000円で借り放題。もちろん一冊毎がよければ、その都度料金をいただいて貸し出しもする。
お部屋の中でも、ゆっくり本を読めるスペースを作り、親子で素敵な時間が持てるようにするつもりだ。
公的な図書館では、利用料がかからないので、料金設定には迷ったけれど、由香の伯父様の蔵書には、珍しい外国の絵本などもあり、ある程度の利用客が見込めるのではないかと思っている。
なんせ初めてのことなので、様子を見ながら、やっていくしかないだろう。
図書館の名前は「つぼみ文庫」にした。
お庭のバラ園を見ていて、閃いたのだ。つぼみっていうところが、控えめな感じでいいと、由香も丸ちゃんも賛成してくれた。
私は、やりたかったことができるので、忙しいながらも幸せな毎日だった。