俺様な幼なじみは24年前の約束を忘れない
私は自分の部屋に戻り、はて何を着ようかと考える。
いつも休日はトレーナーにデニムが定番だが、さすがに今日はそういうわけにいかない。
3月中旬の今の時期は、まだ肌寒いけれど、冬物の服を着るのも憚られ、着る服のチョイスが難しい。
しかしながら、悩むほどの選択肢もなく、パステルカラーの薄手のセーターに、シフォンスカートを合わせ、春物のコートを羽織ることにした。
さらに、階下に降りて化粧をするも、私には重ね塗りの技術もなく、10分もあれば作品(顔)は完成する。
仕事の時には、一つ結びにする髪は、今日はハーフアップにしてバレッタで留めた。私にしては、上級の装いだった。
リビングに戻ると、晃ちゃんが来ていた。
「晃ちゃん、おはよう。」
「せっかくの休日に、莉子も付き合わせて悪いな。」
ニコニコと笑う晃ちゃんは、俺様ではなく王子様だ。
「昼食代は俺が出すから。
凌介に好きな物を食べさせてもらって。」
「わーい。晃ちゃん、ありがとう!」
ニコニコと笑いながら言うと、
「嫌がってたくせに、調子いいやつ。」
凌ちゃんは眉間にシワを寄せて、チッと舌打ちをした。