俺様な幼なじみは24年前の約束を忘れない
隣の柳田家
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我が家がこの家に越してきたのは、26年前。
父 片岡貴司は結婚を機に、戸建ての購入を決意したらしい。
35年ローン。普通のサラリーマンにとって、家の購入は一大決心だ。
保育園で働く母の職場と実家に近いこの近辺で、建て売り住宅を探したところ、ちょうどよい物件が見つかった。
隣にやけに大きな家があるなと思ったそうだが、引っ越してきて、初めて父と母は、隣家が柳田総合病院の院長宅だと知った。
柳田総合病院は市内の最も大きな病院で、市民が、これは風邪じゃくて変な病気かもと思った時には、柳田病院に行く、そういう位置付けの病院だった。
父と母がびくびくしながら引っ越しの挨拶に行くと、
『まぁ!ありがとう。お隣に引っ越して来てくれて!』
やたらフランクな院長夫人の出迎えに、びっくりしたらしい。
生活に余裕のある人は、周りの人にも優しい。生粋のお嬢様育ちの院長夫人は、本当にいい人だった。
どうやら、父が購入した家の土地は、元々柳田家の土地であり、広すぎる庭を整理して、切り売りした場所だそうだ。
うちの土地を買ってくれてありがとう!というスタンスの院長夫妻は片岡家を歓迎してくれた。