恋を叶える魔法の呪文
「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター!!」

大きな声で言ったため、周りからの視線が集まってくる。いつもならこんな状況、恥ずかしくて黒歴史だと思うだろう。しかし、この楽しい雰囲気の中、夏津樹は恥ずかしさを感じることなく愛梨と笑えた。

二人はハリー・ポッターの大ファンで、これがきっかけで仲良くなった。好きなキャラクターや受けてみたい授業などを話し、映画を二人で鑑賞して盛り上がるほどだ。ハリー・ポッターが好きなのは二人しか周りにはおらず、ハリー・ポッターの話になると二人きりの世界に入ってしまう。

そんなハリー・ポッター好きの二人にとって、ハリー・ポッターの世界が壮大なスケールで表現されたウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッターは、まさに夢の世界であり、一度行ってみたい場所だったのだ。

「でも、今回はみんながいるし無理かな……」

少し寂しそうな顔で愛梨が言う。夏津樹が「なら、俺と二人でまたここに来ようよ!」と言いかけた時、最初に乗るアトラクションの前に到着した。
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