トンネルの向こう側
その日の夜、メールで将大に先輩が家庭の事情で辞めた事を伝え、
これからは残業が増えるとメールした。

将大からすぐに電話がかかってきて、頑張れ!と励まされ、
遅くなる日は、キッチン岡部でご飯を食べて、帰りは車で送ると言ってくれた。

私は、少しでも一緒にいたいから素直にお願いした。

本当に、残業が多くなり将大にも3回程送ってもらった。

誕生日プレゼントも買いに行けない!

ネットで検索してお揃いの皮製のキーホルダーを買った。

いよいよ明日は、誕生日。
夜、将大から電話がきた。

「さやか、明日も残業なら一緒に車でさやかのマンションまで行こうよ。な!
電車だと大変だろうし、途中でテイクアウトで何か買ってさ〜。 
あ、ケーキはオレが休憩時間に取りに行くし〜」

「そうしようかな〜 、甘えちゃっても良い?」

「ああ、大丈夫だよ。これくらいさ!
それとも、母さんもいるけどウチで誕生日する? お泊まりの準備もして、
金曜日は、ウチから出社したら?
歩いても15分くらいだろ?」

「将大のマンションと会社が近いのは私にとっては、誘惑だわ〜。
でもさ、お母さんとの初顔合わせがいきなりお泊まりの誕生日会って…」

「ちょっと待って!  
母さん、明日さ〜〜〜〜〜〜
さやか! 母さんもOKだって!」

「え〜! 不躾な子と思われて嫌われないかな〜大丈夫かなぁ、緊張してきた〜!」

「大丈夫だって! 母さんが誕生日だし手巻き寿司にしようって言ってるしさ!
お泊まりセット持って来いよ!
仕事終わったらキッチン岡部に来てさ、一緒にウチに行こう?」

「うん。ありがとう! そうするね。
じゃあ、明日ね!」


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