トンネルの向こう側
「もしもし? 恭一さんですか?」

「さやかちゃん、振り向いたり、
キョロキョロせずに、俺の会社に来てくれる?
また、アイツがさやかちゃんをつけてるんだ。」

「……え… まさか…どうして…」

「また車を使って、キッチン岡部に送るから俺の会社まで、おいで。」

「ハイ。わかりました!」

さやかは、少し早歩きで恭一の会社に入って行った。

「さやかちゃん。 車は裏だからコッチに来て。」

「ハイ。」
スーツケースを持って恭一について行く。

裏の駐車場からグルリと遠回りして、キッチン岡部に向かう。

「さやかちゃん大丈夫か? 
俺さ、やっぱり心配だったから友達とかにトモキってヤツの写真流したんだわ。
駅周辺で見かけたら連絡するようにって…
そうしたら、連絡が入ったからさ…。
岡部さんから将大に連絡してあるからね。」

「もしかして…私のマンションからつけて来たのかなぁ〜」

「可能性は高いかなぁ。
将大のマンションに当分暮らす事も考えたほうが良いかもね〜。
将大と恵さんとも相談して決めたほうが良いよ。

ハイ! とう〜ちゃ〜く! 」

「本当にいつも助けていただいて、ありがとうございます。」ペコリ。

恭一はさやかに手を振って、車はすぐに発進した。

さやかはスーツケースを持ってお店に入った。 

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