トンネルの向こう側

「お父さん！お母さん！　ただいま〜！」

バタバタ！　バタバタ！と兄の　正和〈まさかず〉が走って玄関へやって来た。

将大は、
「はじめまして！　河田　将大です。
本日はお時間をいただき、ありがとうございます。」

正和の後ろから母の好子が来た。
「いらっしゃい！　ちょっと〜正和〜邪魔！」

「俺は認めないぞ！」

「何、言ってんの！　バシッ！」と正和の背中を叩いた好子。

「お兄ちゃん！　たとえお兄ちゃんに認めてもらわなくても私は将大と付き合ってるんだからね！
お父さん〜！」

さやかの父の義雄が玄関にやって来た。
「何、玄関先で騒いでるんだ！
さやか、おかえり〜。河田くんもお疲れ様。
どうぞ上がって下さい。」

「はじめまして、さやかさんとお付き合いしている、河田　将大です！　
では、お邪魔致します！」

みんなでリビングのソファーに座る。

お父さんの横に座ったお兄ちゃんは将大を、睨んでいる。
お母さんがお茶を出してくれてソファーに座ると、

将大はソファーから床に正座して、

「お父さん、お母さん、お兄さん。
私は　さやかさんと高校の同級生で河田　将大と申します。
今日は、結婚を前提でお付き合いをする事を認めていただきたく挨拶に伺いました。

これはつまらない物ですが、皆さんで召し上がって下さい。」

「河田君、ソファーに座って。　ね！」

「はい。ありがとうございます。」と父の義雄に言われ将大はソファーに座った。

「河田君。
結婚を前提としてさやかと付き合うのを認める前に、君の事を教えてくれるかなぁ〜」