トンネルの向こう側
7年前
「「「いらっしゃいませ!
ようこそ スターダストへ!」」」
オレは、調理専門学校を卒業し調理師免許も取った。
あと1年か2年
ホストクラブで稼がせてもらえるよう、恭弥さんに頼んでいる。
返済後は、岡部さんの店でまた働きたいと先日の休みの日に岡部さんに伝えてきた。
岡部さんも、了承してくれた。
今日は平日の19時。
会社帰りのOLさんが、初回限定お試しの安い安全なコースで3名様いらした。
予約済みのNO.1の恭弥さんや
NO.2で アイドルのような 翔さん。
NO.3の 爽やか王子様 蓮さん。
は、指名出来ないのでオレらのような下っ端ホストが席につく。
そんな中、
オレを指名してくれるようになった
キャバ嬢のナナさん(21)、
やっぱりキャバ嬢のエリカさん(20)
あと… 恭弥さんからオレに指名変えした
地方議員の奥様で、柳 麗子さん(40) が今のオレの太客だ。
日曜日の夕方からナナさんと同伴。
入店する前にナナさんと手を繋いでイタリアンへメシに行くが、途中でショッピングに付き合った。
若者向けのショップがたくさん入っているファッションビルだ。
ナナさんお気に入りの店。
ナナさんが試着室から出てオレの意見を聞く。
オレはそれよりコッチが似合うとワンピースを渡した。
ナナさんがまた試着室に入ったので店内をいろいろと見ていたら、
2人組の女の子の話し声がして振り向くとそこに さやかが友達と服を選んでいた。
「さやか…? 」
「将大…どうして?…」
「ヒロ〜 どう? アレ?ヒロ〜」
「ゴメン、今行く〜!
さやかまた、メシ行こうな!じゃあ」
「ヒロ! ナンパ?もう!」
「違うって〜!おお! 似合う!
それにした方が良いわ〜。オレ天才〜」
「ホント?じゃあこれ買う〜」
「じゃあココで待ってるな!」
「うん。」
試着室のカーテンをシャーと閉めたナナ。
将大は、さやかのいた方を見たがさやかはもういなかった。