トンネルの向こう側
「オレは、アイツの事許せないんだよ!
オレらに嘘をついて、自分さえ良ければ何しても良いと思ってた友貴がさ!
オレらに謝りもせず、事件から逃げて死んだ事も!
そして、オレを殺そうとした事も!
さやかを傷つけた事も!」

「将大〜」 ぎゅー

「ゴメン。
友貴の家族は、友貴の葬儀のあと一度さやかの病院に来たんだわ〜
長谷川弁護士さんもいてくれて、
オレとウチの母さんとさやかのお母さんに土下座してさ。 
オレは友貴のお父さんやお母さんに罪は無いからって言ったけど、息子が起こした事件だからってさやかの病院の費用は出させてくれって言って帰ったよ。」

「でも、引っ越ししたんでしょう?」

「うん… 弁護士さんの話しでは…友貴は亡くなったけど息子が起こした事件があの田舎でバレるのを恐れて親父さんは会社を辞めて、家も売り払ったんだ。
長谷川弁護士さんと、向こうの弁護士さんのやり取りで入院の費用は支払われてた。

それと… さやかへの慰謝料をさやかの両親とオレにも支払ったんだよ。
オレもさやかの両親も受け取らないつもりだったんだけどさ〜
弁護士さんが、受け取る事であちらのご両親の気持ちが、楽になるだろうって言われて…
ゴメンさやか…金を受け取って…
でも、親には罪は無いからさ」

「ううん。大丈夫だよ。
私も友貴のご両親は何も悪くないと思うから。

友貴は、本当に私を好きだったのかなぁ〜
将大への嫉妬だけで、私の事は本当に好きだとは思えないんだよね〜」

「オレはどうしても 卑怯な友貴が許せない」

「ねぇ、友貴が私を刺した事は同級生は知ってるの?」

「残念な事に知られてる…
同級生の何人か警察官もいるし、友貴の親戚が葬儀の時にウワサ話しをしてたのを聞いたヤツも結構いたみたいだわ」

「そうなんだぁ」

「オレたちはオレたちの人生を歩もうな!」

「うん! 2人で乗り越えようね。」

「おぉ。 頑張ろうな、2人で」


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