トンネルの向こう側
そんな中、地元の住込みの仕事をしている母親の恵から連絡が入り、
父親の弘明が仕事中に倒れて救急搬送されたとの事だった。

オレは、恭弥さんに事情を説明し地元の病院へ向かった。
病院に到着し受付で弘明の名前を言うと、霊安室に案内された。

「母さん……大丈夫か?…」

「将大… お父さんが急に倒れて…
救急車で病院に運ばれた時には、もう心臓が…
お医者さんも心臓マッサージしたり、
点滴したり…したけど… ゔ… ダメだった…」

「母さん……突然でオレも頭が真っ白だわ…
父さんの顔見て良いかぁ…」

「うん。 そうしてあげて…
お父さん、将大だよ…
借金返済してもらった事を感謝してたんだよ…
ありがたかったが…すまなかった…って…」


「……父さん… お疲れ様…ありがとう…
母さんの事はオレに任せてくれな。
父さん… 父さん…やっとこれから…
一緒に暮らそう…と思ってたのに……」

将大は、父親の冷たくなった体に縋り付いて泣いた。


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