トンネルの向こう側
「お待たせ! まずみなさんに不審な者ではありませんので、名刺をお渡しします。」
しろやま不動産(株) 代表取締役社長
城山 恭一
と書かれていた。
「不動産? え! モデルさんじゃあないの?」
岡部さんと、恭一はクスクス笑っている。
「さやか〜、もう…」
有紗はクスクス笑いを堪えていた。
私達は、尚美の家、有紗の家、1番遠い私のマンションの順番で送ってもらう事になった。
「さやかちゃんは、ずいぶん遠くから通勤しているんだね!」
「はい。本当に申し訳ございません。
大学時代から住んでいて、引っ越ししたいんですが、なにせ新入社員でお金がなくて…ハハハ…」
「そうかぁ。じゃあ、お金が貯まったらウチの会社で部屋見つけてよ。お安くするから!」
「はい。そうさせていただきますね!」