エデンを目指して
エデンの欠片
レジーナ号はアズーリ空域に到着した。当然の事ながら、既にエデンは移動した後だった。
「ここからどうする訳?」
「聞き込みだな。先ずは近くの惑星に立ち寄るさ」
グリンはそう言うと、宇宙船を発進させた。レジーナ号は、最寄りのランダ惑星に立ち寄った。ランダ惑星は、水の星だった。惑星の殆んどが海で、ポツリポツリと島が浮かんでいる。明るい陽射しを反射して、海は真っ青に輝いていた。その紺碧の大海を、大きな船が航行している。この惑星の主要交通網は船であった。グリンは島にレジーナ号を着陸させた。
「住民に聞いてみよう」
グリンはそう言うと船を出た。
島には十数人の島民がいた。村長とおぼしき老人と若者が数人出てきて、グリンに話しかけた。
「お前さんたち、何処から来なすったね?」
明らかに警戒の表情だった。
「首都カイラスからです。別に怪しい者じゃありません。俺らはウォーカーです」
「ウォーカー?」
村人は顔を見合わせた。
「何処から来なすったね?」
「首都カイラスからです」
「そんな遠くから来たのかね? 何しに来なすったね? いや、実は少し前に魔界の手先がこの島に入り込んでな。幸い、大事になる前に押さえたが……」
「そうだったんですか。実は、エデンの欠片を探しているんです。半年前にはこの近くのアズーリ空域にあったとか」
「ああ、そうかね」
「今、何処にあるか知っていますか?」
「分からんね。お前達知っているかね?」
村長は村人に話しかけた。
「あの……」
少女が一人、おずおずと申し出た。
「私の友達が惑星タキマまで留学してるんですけど、通学途中でエデンに遭遇したそうです。突然エデンの至福に包まれたとか」
「それはどの辺だ?」
「こことタキマのちょうど中間位の空域だそうです」
「そうか……ありがとう」
グリンはそう言うと、レジーナ号に戻った。
「惑星タキマへ向かうぞ。途中の空域でエデンに遭遇したそうだ」
「遠いの?」
「いや、そうでもない」
グリンは宇宙船を発進させた。惑星ランダを後にして惑星タキマへ向かう。途中で流星群が青白い光を放ちながら横切って行った。それはまるで夢のような美しさで、銀嶺は思わず見とれた。
数時間進むと、ランダとタキマの中間点に到着した。だが予想通り、そこには何もなかった。
「当然と言えば当然よね」
銀嶺は落胆の溜め息を付く。
「だが予測は付く。アズーリからの移動の軌跡から計算すると、ナシル空域の方向へ向かっている筈だ」
レジーナ号は半日かかって、ナシル空域に到着した。
「おい、銀嶺、これを見ろ」
グリンは計器を銀嶺に見せた。アストラルエネルギーの密度が上昇している。
「これって……」
「多分、エデンの尻尾だな」
「エデンの尻尾?」
「ここをエデンが通った名残さ。このまま追うぞ」
グリンは再びレジーナ号を発進させた。
グリン達はカリタ空域に到着した。その瞬間、アストラルエネルギー密度を計測する計器の針が振り切れる。船内に濃密なアストラルエネルギーが襲ってきた。余りのエネルギーの強さに、二人と一頭は圧倒されて動けなかった。身体中が至福の波で満たされる。これ程の喜びに満ちた空間は初めてである。この喜びに比べたら、他の快楽や娯楽などは子供騙しの様な物だ。
「……凄いな」
「ええ」
二人共、泣いていた。頭は思考を止め、胸は張り裂けそうだった。気が狂いそうな程の濃密なエネルギーの圧迫。
「これがエデンの欠片……」
銀嶺は息も絶え絶えに呟いた。余りの高エネルギーで死んでしまいそうだ。そこには一辺のネガティブなエネルギーの欠片もなく、ただただ喜びに満ちた空間があるだけだった。そこには最早絵画で描かれたようなイメージすら必要ない。エネルギーそのものが美と喜びなのである。
「こんな所に居られたら、もう何もしたくないわね……」
「する必要がないさ。幸せ過ぎてな……これでエデンがどんなものか分かったな」
「これは欠片だから、本来はもっとすごいのよね?」
「だろうな。高級勢力はこれの拡大版を目指している訳だ」
「私、この至福を皆が味わうためなら何だってやるわ……」
「俺もさ……。良し、もう良いか?」
「ええ」
「帰るぞ」
グリンはそう言うと、圧迫するエネルギーにやっとの思いで抗って、レジーナ号を発進させた。
「せっかくここまで来たんだ。この先に、ウォーカーの技術指導をしているマスターがいるから、一つ修行といこうじゃないか」
「修行?」
「そうさ。これからも魔界との戦いは続くんだ。腕を上げておいた方が良いだろう?」
「そうね。楽しみだわ」
「惑星サルバに向かうぞ」
レジーナ号はサルバに向かった。
「ここからどうする訳?」
「聞き込みだな。先ずは近くの惑星に立ち寄るさ」
グリンはそう言うと、宇宙船を発進させた。レジーナ号は、最寄りのランダ惑星に立ち寄った。ランダ惑星は、水の星だった。惑星の殆んどが海で、ポツリポツリと島が浮かんでいる。明るい陽射しを反射して、海は真っ青に輝いていた。その紺碧の大海を、大きな船が航行している。この惑星の主要交通網は船であった。グリンは島にレジーナ号を着陸させた。
「住民に聞いてみよう」
グリンはそう言うと船を出た。
島には十数人の島民がいた。村長とおぼしき老人と若者が数人出てきて、グリンに話しかけた。
「お前さんたち、何処から来なすったね?」
明らかに警戒の表情だった。
「首都カイラスからです。別に怪しい者じゃありません。俺らはウォーカーです」
「ウォーカー?」
村人は顔を見合わせた。
「何処から来なすったね?」
「首都カイラスからです」
「そんな遠くから来たのかね? 何しに来なすったね? いや、実は少し前に魔界の手先がこの島に入り込んでな。幸い、大事になる前に押さえたが……」
「そうだったんですか。実は、エデンの欠片を探しているんです。半年前にはこの近くのアズーリ空域にあったとか」
「ああ、そうかね」
「今、何処にあるか知っていますか?」
「分からんね。お前達知っているかね?」
村長は村人に話しかけた。
「あの……」
少女が一人、おずおずと申し出た。
「私の友達が惑星タキマまで留学してるんですけど、通学途中でエデンに遭遇したそうです。突然エデンの至福に包まれたとか」
「それはどの辺だ?」
「こことタキマのちょうど中間位の空域だそうです」
「そうか……ありがとう」
グリンはそう言うと、レジーナ号に戻った。
「惑星タキマへ向かうぞ。途中の空域でエデンに遭遇したそうだ」
「遠いの?」
「いや、そうでもない」
グリンは宇宙船を発進させた。惑星ランダを後にして惑星タキマへ向かう。途中で流星群が青白い光を放ちながら横切って行った。それはまるで夢のような美しさで、銀嶺は思わず見とれた。
数時間進むと、ランダとタキマの中間点に到着した。だが予想通り、そこには何もなかった。
「当然と言えば当然よね」
銀嶺は落胆の溜め息を付く。
「だが予測は付く。アズーリからの移動の軌跡から計算すると、ナシル空域の方向へ向かっている筈だ」
レジーナ号は半日かかって、ナシル空域に到着した。
「おい、銀嶺、これを見ろ」
グリンは計器を銀嶺に見せた。アストラルエネルギーの密度が上昇している。
「これって……」
「多分、エデンの尻尾だな」
「エデンの尻尾?」
「ここをエデンが通った名残さ。このまま追うぞ」
グリンは再びレジーナ号を発進させた。
グリン達はカリタ空域に到着した。その瞬間、アストラルエネルギー密度を計測する計器の針が振り切れる。船内に濃密なアストラルエネルギーが襲ってきた。余りのエネルギーの強さに、二人と一頭は圧倒されて動けなかった。身体中が至福の波で満たされる。これ程の喜びに満ちた空間は初めてである。この喜びに比べたら、他の快楽や娯楽などは子供騙しの様な物だ。
「……凄いな」
「ええ」
二人共、泣いていた。頭は思考を止め、胸は張り裂けそうだった。気が狂いそうな程の濃密なエネルギーの圧迫。
「これがエデンの欠片……」
銀嶺は息も絶え絶えに呟いた。余りの高エネルギーで死んでしまいそうだ。そこには一辺のネガティブなエネルギーの欠片もなく、ただただ喜びに満ちた空間があるだけだった。そこには最早絵画で描かれたようなイメージすら必要ない。エネルギーそのものが美と喜びなのである。
「こんな所に居られたら、もう何もしたくないわね……」
「する必要がないさ。幸せ過ぎてな……これでエデンがどんなものか分かったな」
「これは欠片だから、本来はもっとすごいのよね?」
「だろうな。高級勢力はこれの拡大版を目指している訳だ」
「私、この至福を皆が味わうためなら何だってやるわ……」
「俺もさ……。良し、もう良いか?」
「ええ」
「帰るぞ」
グリンはそう言うと、圧迫するエネルギーにやっとの思いで抗って、レジーナ号を発進させた。
「せっかくここまで来たんだ。この先に、ウォーカーの技術指導をしているマスターがいるから、一つ修行といこうじゃないか」
「修行?」
「そうさ。これからも魔界との戦いは続くんだ。腕を上げておいた方が良いだろう?」
「そうね。楽しみだわ」
「惑星サルバに向かうぞ」
レジーナ号はサルバに向かった。