総長様に愛されたい!~溺愛するはずが溺愛される日々が始まりました~


「それで、和葉に会いに来たの?」

「あ…えと、……はい」

和葉くんの女嫌いは筋金入り。
朱雀の仲間達は皆それを理解していて、大切な総長に近づこうとする女を簡単に許しはしないだろう。

下手したら言い合いになるかもなあ。
なんて覚悟はどうやら必要無かったらしい。

「そう。じゃあ一緒に入ろっか」

菫さんはこれまた綺麗な笑顔を浮かべてそう言った。

「い、いいんですか!?」

「まあ……ね。
他のメンバーだったら意地でも追い返しただろうけど。
ほら、私は女だからさ」

ピンクのカラコンが入ってるのかな。
浅紅色が淡くかかった瞳が切なげに揺れた。

菫さんは朱雀のメンバー。
唯一和葉くんに信頼されている女性だと言われている。

それなのに……どうして悲しそうな顔をするんだろう。

「今まで何度も和葉に無視される女の子を見て来た。
その殆どが和葉の外見と地位を求めるバカな女ばっか。
でも……何も全員がそうじゃない。
本気なのに、その思いが届かないのは辛すぎる。
同じ女として、和葉の女嫌いが治って本気の告白くらい丁寧に断れるようになって欲しいと思うのは……偽善かな」

ギュッと胸の奥が締め付けられた。
この人、本当に優しい人だ。

今まで蔑ろにされて来た女の子のことも、本物の好意を上辺だけのものとしか受け取れない和葉くんのことも。

心の底から心配して、苦しんでる。

「わ、私が……和葉くんの女嫌いを治せると……?」

「さあ、それは分からないけど。
個人的に貴方の言葉がすっごく胸に響いたの」

「言葉?」

「『好きだから、諦めない』
真っ直ぐでカッコイイじゃない」

“だから特別。ほら、行こ”
そう言って、菫さんは私の手を握る。
そのままガチャリと扉を開けた。

か、カッコイイのは……菫さんの方だと思います!!


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