総長様に愛されたい!~溺愛するはずが溺愛される日々が始まりました~

「ね、和葉くん!
私の名前覚えてる?
園崎 桜って言うんだけど」

「………」

和葉くんが寝てるソファーから一定の距離を空けてしゃがみ声をかけてみる。
結果はやっぱり無視だけど。

どうしたら返事して貰えるかな。

「和葉くん。
どうしたら返事してくれる?」

「………」

本人に直接聞いてみる作戦は失敗だ。
閉じた瞼はピクリともしない。

「好きな食べ物はプリンとオムライス。
趣味はお菓子作りと寝ること。
好きな人は……」

「うるせえ」

「……!
えへへ、だって返事くれないから。
自分を知って貰う良い機会かなって」

素っ気ない返事。
でもやっぱり悲しいより嬉しいが勝つ。

返事をくれるってことは、私の声が届いたってことだから。

「……静かにしてろ」

「それって、静かにしてたらここにいてもいいってこと?」

「………」

「無言は肯定ってよく言うもんね!」

取り敢えず追い出されなかったことに安心して口元が緩んだ。

「え……えー!?
い、今、今、カズがスミちゃん以外の女の子と喋ったよね!?」

「今っていうか……さっき授業中も返事してた」

「びっくりすぎて……なんて言ったらいいのやら……」



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